2019年6月18日(火)

地域の名産品をめざして
(あのまちこの味)

関西タイムライン
関西
2019/4/29 6:00
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 日本経済新聞大阪夕刊の「もっと関西」は、2019年5月7日付から「関西タイムライン」(KANSAI Timeline)に生まれ変わります。タイムラインは過去から今、未来への移り変わりを意味します。私たちが働き、暮らす関西について多角的に報じてきましたが、これからもさらに魅力を追求していきます。毎週水曜日に掲載してきた各地の名物・名産「あのまちこの味」の中から、一部を紹介します。

いちじく(兵庫県川西市)

ジャムやカレー甘み多彩

かつて果樹栽培の先進地とされた兵庫県川西市。その名産品の一つがいちじくだ。日本で最も多く生産されている桝井(ますい)ドーフィン種の栽培に、国内で初めて成功した。ジャムやケーキのほかカレーやワインなど、いちじくの濃厚な甘みを活用した商品は数多い。

川西市で栽培が始まったのは1925年。海外で譲り受けて増殖した苗木を桝井光次郎氏が持ち込んだ。猪名川が流れる同市は水はけが良く、栽培に適している。地域で培った果樹栽培のノウハウを掛け合わせ、瞬く間に生産農家が増えた。

淡路島や和歌山県でも栽培しているが、川西産の売りは地の利を生かした新鮮さ。夏には農家が午前2時に起きて収穫し、昼前には店頭に並ぶ。昔は阪急電鉄で運んでいたといい、「足が早いいちじくを一番おいしい状態で素早く届ける文化が残っている」とJA兵庫六甲の田中雄隆さん。完熟したいちじくの芳醇(ほうじゅん)な甘さは絶品の一言だ。

夏の風物詩となった8月の即売会を、今年も多くのファンが指折り数えて待っている。

(大阪経済部 中谷庄吾)

=2019年4月24日付掲載

イチゴ「ちはや姫」(大阪府南河内地域)

厳選の大粒×完熟×新鮮

大阪府南部の千早赤阪村と河南町で、大粒完熟イチゴ「ちはや姫」の出荷が最盛期に入った。農家3戸が栽培する「紅ほっぺ」という品種のうち、40グラム以上の大粒、完熟、出荷当日の朝に摘果の3条件を満たして、同ブランドを冠する。生産全体の2%という選ばれし姫たちだ。

イチゴの収穫期は一般に11月から6月とされるが、ちはや姫は12月から2月までの期間限定。生産農家の福永洋一さんは「早く熟すと小さくなるので、8~18度の低温でおっとりと育てる」と話す。

2つの町村はかつて盛んだったイチゴ栽培を復活させようと、大阪府などと協力して2017年に「南河内いちごの楽園プロジェクト」を始めた。先輩農家が就農希望者に栽培や経営を指南して産地拡大を目指している。公募で決めたブランド名は南北朝期に活躍した地元の武将、楠木正成の息女にちなむ。

南河内地域の3カ所の道の駅にある直売所で買える。販売価格は8個入りが2450円(税込み)など。主に贈答用として買われることが多いという。

(大阪地方部 木下修臣)

=2019年1月30日付掲載

大葉(大阪府寝屋川市)

香り爽やか、バーガーにも

刺し身の添え物や薬味として、鮮やかな緑色で日本料理を彩る「大葉」。大阪府寝屋川市では昭和後期まで東部の打上地区で盛んに生産されていた。他品種に比べて小ぶりな葉と輪郭のギザギザが細かいのが特徴という。だが、宅地開発や後継者不足で生産者は徐々に減り、出荷している農家は今や1軒のみとなった。

「大葉が寝屋川の名産だったことを再発見してもらいたい」。ショットバー「Two Spark」のオーナーである奥大輔さん(42)は、街おこしのため大葉を使った「ねやバーガー」を発案した。大葉4、5枚が練り込まれたうっすら緑色のバンズ。タルタルソースにも刻んだ大葉を混ぜており、一口頬張ると爽やかな香りが追いかけてくる。キッチンカーに行列ができるなど知名度も上がってきた。

市内では大葉のエキスを使ったゼリー「大葉の里」も売られている。和菓子店「一力総本店」代表取締役の高橋朋子さん(41)は「旬に当たる夏場は売り上げの大半を占める人気ぶり。寝屋川を代表するお土産として根付いてくれたら」と笑顔で話す。

(大阪社会部 小安司馬)

=2018年5月9日付掲載

ヤーコン(大阪府豊能町)

アンデス原産、美容で注目

大阪府豊能町は、南米アンデス原産の根菜「ヤーコン」の特産化に取り組んでいる。国内の産地は北海道や北関東などにとどまるなじみの薄い野菜だが、美肌や便通改善などに有効な成分が含まれ、健康志向の女性を中心に注目されている。

同町が栽培に乗り出したのは2005年から。寒暖の差がアンデスに近いことに着目し、耕作放棄地対策としてまず苗2千株を農家に無償配布した。しかし、販路が見いだせず、生産量は伸び悩んだ。

16年からブランド化を図ろうと、大阪大学や健康食品メーカーと協力。詳細な成分検査をし、機能性表示食品の申請をしている。「最近は関心が高まり、大阪市内の生協などに販路が広がってきた」(町農林商工課の池田拓也さん)という。

5月ごろ畑に苗を植える。手間はあまりかからず、10月末ごろから収穫する。生のまま食べると、ナシのような甘みを楽しめる。町の直売所ではサイダーやお茶などの加工品も販売している。「売り先はまだ増やせそうなので、生産の担い手を確保していきたい」(池田さん)

(大阪・文化担当 西原幹喜)

=2018年4月11日付掲載

岩津ねぎ(兵庫県朝来市)

鍋に欠かせぬ甘みと香り

岩津ねぎは兵庫県北部、朝来市の特産品。根深ねぎ(白ねぎ)と葉ねぎ(青ねぎ)の中間種で、白ねぎに比べると白根の部分がやや短く、青葉の部分が長い。身が軟らかく、甘みと香りが強いのが特徴で、白ねぎが苦手でも岩津ねぎなら大丈夫という人も少なくないという。白根から青葉まですべて食べることができ、地元では冬場のカニすきやカモすきなどの鍋料理に欠かせないとされる。

朝来は降雪地域で、雪が降り積もり冷え込みが厳しくなると、より甘く軟らかくなるという。朝来市岩津ねぎ生産組合が商標登録しており「岩津ねぎ」として販売できるのは市内約30ヘクタールで栽培される分だけ。販売時期も11月下旬から3月中旬までと定められている。

地元と大阪から神戸にかけての地域以外ではほとんど販売されず「幻のねぎ」と称されることもある。朝来市農林振興課の野田勝文氏は「昨年の台風で倒れた岩津ねぎが多く、出荷が遅れてしまった。2月にかけ、さらに甘くなる岩津ねぎに期待してほしい」と話す。

(大阪・文化担当 田村広済)

=2018年1月10日付掲載

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