あのお菓子も関西生まれ説
(あのまちこの味)

2019/4/26 6:00
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 日本経済新聞大阪夕刊の「もっと関西」は、2019年5月7日付から「関西タイムライン」(KANSAI Timeline)に生まれ変わります。タイムラインは過去から今、未来への移り変わりを意味します。私たちが働き、暮らす関西について多角的に報じてきましたが、これからもさらに魅力を追求していきます。毎週水曜日に掲載してきた各地の名物・名産「あのまちこの味」の中から、一部を紹介します。

炭酸せんべい(有馬温泉)

甘み素朴、湯上がりパリッ

日本最古の温泉として、関西屈指の観光地である有馬温泉。温泉街で目立つのが分厚い鉄板にタネを落として薄く焼き上げる有馬名物「炭酸せんべい」の店だ。軽い口当たりとほんのり甘い素朴な味が人気の土産として定着している。

有馬には数種類の温泉が湧いているが、その1つが炭酸泉だ。有馬では明治時代に泉源が確認され、当初は毒水と恐れられた。しかし、明治末期に国の分析で飲用に適したものとわかると炭酸泉を使って日本最初のサイダーが作られ、炭酸せんべいの製造も同時期に始まった。

有馬で炭酸せんべいを初めて製造したのが三津森本舗を創業した三津繁松。小麦粉、砂糖、塩、でんぷんを炭酸水で練って薄く焼く製法は当時からほぼ変わらない。「(三津繁松は)菓子作りのプロではなかったため、卵もバターも使わず簡素な材料・製法で商品化した」と三津森本舗の弓削次郎常務(46)。シンプルなレシピが飽きのこない味わいを生み、当時から格段に食文化が充実した今でも親しまれる名産品となった。

(大阪・文化担当 佐藤洋輔)

=2019年3月20日付掲載

雀の玉子(大阪)

酒のお供、甘辛い一粒

甘辛い硬い生地で覆われた一口サイズの粒をかみ砕くと、中からピーナツ。生地とピーナツの味がマッチして、一度食べ始めたら止まらない。豆菓子の「雀(すずめ)の玉子」は、お茶やビールのおつまみとして最適の駄菓子の一つだ。

ピーナツを寒梅粉(もち米で作った粉)などでコーティングして加熱。しょうゆなど調味料で味付けし、乾燥すればできあがり。西日本全域で普及するが、発祥は大阪との説が一般的だ。

なぜ大阪かというと、関西は伝統的に豆菓子の加工業者が集っているからだ。日本ピーナッツ協会の会員数は関西が28社と全国の3割を占める。雀の玉子も多くの業者が商品開発を競う中で生まれたとみられ、冨士屋製菓本舗(大阪府富田林市)の北野登己郎社長は「大正から昭和の初めには確実にあった」と話す。

需要は中高年を中心に安定している。阪神百貨店梅田本店に出店する今川製菓(大阪市東成区)によると「健康関連で注目され、販売が伸びるときもある」(今川幸昭社長)という。

(大阪経済部 山本修平)

=2018年12月26日付掲載

豚まん(神戸市)

1日1.3万個、老舗の早業

柔らかい皮の中に豚ミンチ肉を味付けた餡(あん)がぎっしり。関西のグルメの定番、「豚まん」だ。他の地域では「肉まん」「中華まん」という呼び名で定着している。「豚まん」の呼び名は創業1915年の老舗、神戸・南京町の老祥記が発祥とされる。創業者が出身地中国のまんじゅう「天津包子(テンチンパオツー)」を日本人向けにアレンジした。

行列が絶えない老祥記の豚まんは1つ90円。2、3口で食べきれる小さめサイズで、こうじを自然発酵させた皮と豚バラを使った餡のうまみが絡み合う。1日平均で1万3千個売れるため、スタッフは1分間に13個の猛スピードで素早く包んでいく。

市内にはほかにも「四興楼」「三宮一貫楼」という有力店があり、それぞれが手作りにこだわって観光客にも人気だ。この老舗3店舗が中心となり、2011年から11月11日の「豚まんの日」に合わせて「KOBE豚饅(ぶたまん)サミット」を開催。期間限定の豚まん販売などで神戸への誘客に一役買っている。

(神戸支社 下前俊輔)

=2018年7月25日付掲載

かき氷(奈良市)

氷の神も喜ぶ?個性派続々

ふわりとした氷の山に色鮮やかなシロップとフルーツなどのトッピング。暑い盛りに一目見てわくわくするかき氷を出す店が、奈良市の旧市街、奈良町や奈良公園を中心としたエリアで増えている。かき氷専門店から和洋菓子店、エスニック料理店まで様々。観光の合間に一服するのにうってつけだ。

平城京に氷を献上するための「氷室」などの守護神として創建され、現在も製氷業者らが祈願に訪れる氷室神社(同市)では2014年から毎年、かき氷の祭典「ひむろしらゆき祭」を開催。同祭実行委員会がお店のガイド冊子も作成する。

掲載は当初約30店だったが、現在は県全域の45店に拡大した。奈良町にある専門店「ほうせき箱」は連日整理券を配布する人気ぶり。ハーブから作った青いシロップを使い、てっぺんに泡のソース、エスプーマをあしらった「リトマス試験紙氷」(税込み920円)は、レモン汁をかけると紫色に変化する。同店の平井宗助代表は「観光施設などともコラボして奈良の『食』を盛り上げたい」と話す。

(奈良支局長 岡田直子)

=2018年7月18日付掲載

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