関西の海が育むサカナやカニたち
(あのまちこの味)

関西タイムライン
2019/4/27 6:00
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 日本経済新聞大阪夕刊の「もっと関西」は、2019年5月7日付から「関西タイムライン」(KANSAI Timeline)に生まれ変わります。タイムラインは過去から今、未来への移り変わりを意味します。私たちが働き、暮らす関西について多角的に報じてきましたが、これからもさらに魅力を追求していきます。毎週水曜日に掲載してきた各地の名物・名産「あのまちこの味」の中から、一部を紹介します。
 

香住ガニ(兵庫県香美町)

真っ赤な甲羅強い甘み

兵庫県北部、香美町の香住港はこの辺りでは数少ないベニズワイガニの水揚げ港だ。冬の味覚の王者と称されるズワイガニより甲羅の赤みが強いのが特徴。身の詰まり具合などでズワイにやや劣るとの声が多いものの、漁獲量の多さからズワイより安価に味わえる。国内でとれる他のベニズワイより甘みが強く、身が詰まっているとの評判から、2000年に「香住ガニ」と名づけてブランド化に取り組んできた、と港の真ん前に直売店を構えるカニ工房まるやの長谷川貴一さんが教えてくれた。

ベニズワイというと確かに水っぽい、安いという印象を持ちがち。ズワイより深い海で育ったためか、温度など環境変化に敏感で鮮度が落ちやすいのが影響しているようだ。大型船で何日も漁に出るズワイと違い、香住ガニはとったらその日のうちに水揚げし、鮮度を保とうとしている。まるやでは新鮮な香住ガニを網焼きしたり、ゆでたりして濃厚な味わいを堪能できる。カニ味噌も絶品だ。釜飯や海鮮丼、うどんなどで気軽に楽しむこともできる。

(神戸支社 小嶋誠治)

=2019年1月16日付掲載

泉だこ(大阪府泉州地域)

潮流穏やか、身ふっくら

関西でタコといえば兵庫県明石市の明石ダコが有名だが、大阪府にも地域ブランドのタコがある。「泉だこ」だ。育つ環境が対照的で、潮の流れが速い明石海峡で育つ明石ダコは身が締まり、歯応えがある。泉だこは潮流が穏やかな泉州沖で大きくなるため、身が柔らかい。

泉だこは2010年、大阪府漁業協同組合連合会によって特許庁の地域団体商標に登録された。泉州沖でとれたマダコをゆでたもので、府漁連が取り扱う。ぶつ切りをワサビじょうゆで食べると、ふっくらしているが、しっかりと弾力がある。府漁連事業課の松田智克主任は「ごま油と塩で食べてもおいしい」と言う。

堺市の割烹(かっぽう)、嶋川では生きた状態で仕入れ、薄造りやぶつ切り、マリネなどに調理している。店主の河中鉄弥さんは「柔らかく、かむほどにうま味が出てくる」と話す。

泉州のマダコは09年、大阪府から「大阪産(もん)」のロゴマーク使用も許可された。府漁連では小さなタコのリリースを呼びかけるなど、資源確保にも配慮している。

(堺支局長 塩田宏之)

=2019年1月9日付掲載

泉南あなご(大阪府泉南市)

ネギ満載、養殖も着々

古くから「チヌの海」と呼ばれ好漁場として知られてきた大阪湾。なかでも南部の大阪府泉南市沖合は有数の天然アナゴの産地だった。市内の食堂では、アナゴの天ぷらに特産のネギをたっぷりかける泉南流のアナゴ料理が振る舞われる。

天然物は乱獲や海水温の変化などから漁獲量が激減。泉南市の水揚げは直近のピークだった2004年の140トンから、16年は9トンにまで落ち込んだ。

「伝統食材を復活し水産業を活性化しよう」と立ち上がったのが地元の岡田浦漁業協同組合。15年度にマグロの養殖で有名な近畿大学水産研究所、泉南市と組み、大阪湾で捕ったアナゴの稚魚の試験養殖を始めた。水槽や海水井戸を整え、近大からはエサなどの技術を学んだ。

4年目の18年度、試験規模は4000匹にのぼる。同漁協青年部の東裕史部長は「養殖物はエサの工夫などで脂の乗りが良い」と語る。「泉南あなご」のブランドでふるさと納税の返礼品にしたり、市内飲食店でPR大作戦を展開したりして周知し、19年度からいよいよ試験販売する考えだ。

(大阪地方部 野間清尚)

=2018年11月14日付掲載

赤ウニ(淡路島)

強い甘み、料亭御用達

ウニの産地というと北海道や東北地方が思い浮かぶが、兵庫県淡路島は知る人ぞ知る名産地だ。主に南東部の由良港(洲本市)や南部の福良港(南あわじ市)で水揚げされる。淡路島のウニは甘みが強い。「周辺の潮の流れが速いため、ミネラルが多く良質な海藻やプランクトンを餌にしている」(由良町漁業協同組合の川北勝彦さん)という。保存性を高めるためのミョウバンを使わず、ウニの腹側を上にして盛りつけるケースが多いのが鮮度の証し。冬場にとれるムラサキウニも美味だが、夏場にだけとれる赤ウニは特に希少性が高く、珍重されている。

収穫量が少ないうえ、京阪神や東京の高級料亭やすし店が直接買い付けるため、市場に出回ることはほとんどない。南あわじ市の絶景レストラン「うずの丘」では、淡路島産のウニを使った「海鮮うにしゃぶ」が看板メニュー。練りウニや生ウニを溶いただしで、白身魚の刺し身をしゃぶしゃぶにして食べるほか、生ウニを刺し身やしゃぶしゃぶで楽しむ。シメのウニ雑炊まで、おいしさを堪能できる。

(大阪・文化担当 小国由美子)

=2018年9月26日付掲載

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