2019年5月22日(水)

ナイジェリア油田贈収賄、欧米企業への捜査広がる

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2019/4/20 10:27
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【ニューヨーク=関根沙羅】アフリカ最大の産油国ナイジェリアの油田の開発権を巡る贈収賄事件で、欧米企業に対する捜査が拡大している。同政府から開発権を得た石油大手の英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルとイタリアのエニ、送金に関わった米金融大手JPモルガン・チェースに対する訴訟が英国やイタリアなどで進む。汚職に対する取り締まりが強まるなか、企業幹部が責任を問われる例が目立ってきた。

ナイジェリアのシェルの石油施設(2011年12月)=AP

問題の取引は、シェルとエニが2011年にナイジェリア政府から買い取った油田開発権だ。2社は政府に約11億ドル(約1200億円)を支払ったが、資金洗浄で有罪判決を受けているダン・エテテ元石油相側に送金され、政府関係者に賄賂として支払われた疑いがある。送金にはJPモルガンのロンドン支店の口座が使われた。

イタリアの検察は賄賂に使われると知りながら11億ドルを支払ったとして2社とシェルの元幹部、エニの最高経営責任者(CEO)などを刑事訴追した。2社は容疑を否定しており、5月にも幹部らが証言する見通しだ。3月にはオランダ検察もシェルに対する刑事訴追を準備していることが明らかになった。

13年から事件を調査してきた英非政府組織(NGO)グローバル・ウイットネスのバーナビー・ペース氏は、大手石油企業の幹部が汚職に関して刑事訴追を受けるのは異例として「これまで汚職への関与で責任を問われてこなかった石油・鉱業企業にとって警鐘となる」と話す。

責任の追及は権益譲渡に伴う送金取引を扱ったJPモルガンにも波及した。同行は11~13年にかけて約9億ドルをエテテ氏が関与する石油会社の口座に送金した。エテテ氏は07年にフランスで資金洗浄の有罪判決を受けており、ナイジェリア政府はJPモルガンが送金を許可すべきでなかったと主張、政府資金の不正流出につながったとして同行に約9億ドルの損害賠償を求めた。

JPモルガンは法的及び規制上の義務を順守しているとして賠償請求の棄却を求めたが、英高等法院は2月、同行の要求を退けた。JPモルガンの広報担当者は「(訴訟は)全く根拠がない」とコメントした。

ナイジェリア政府関係者の指示でJPモルガンが11年にスイスとレバノンの銀行あてに送金した際、2行はコンプライアンス上の懸念などを理由に受け取りを拒否した。不正な資金移動を調査する非営利団体グローバル・ファイナンシャル・インテグリティーのラクシュミ・クマール氏は、複数の銀行が拒否したのに「なぜJPモルガンが問題視しなかったのか」と疑問を呈する。

汚職への取り締まりは各国で強まる。18年9月にはブラジル国営石油会社ペトロブラスが収賄や粉飾会計に関与したとして、ブラジルと米当局に対し罰金8億5300万ドルを支払うことで合意した。11月にはマレーシアの政府系ファンド「1MDB」の汚職を巡り、米金融大手ゴールドマン・サックスの元幹部や子会社が起訴された。

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