2019年5月21日(火)

トヨタ・SBG、自動運転コスト減狙う ウーバー出資

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2019/4/20 0:00
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トヨタ自動車ソフトバンクグループ(SBG)のMaaS(移動サービス)分野の連携が加速している。19日にデンソーを含む3社で米ライドシェア最大手、ウーバーテクノロジーズの自動運転部門に10億ドル(約1100億円)を出資すると発表した。2018年に共同出資会社の設立を決めたトヨタとSBGはグループを挙げてウーバーとの関係を強化し、ライドシェア向け自動運転車のコスト低減に挑む。

トヨタなどはウーバーの自動運転開発部門「アドバンスト・テクノロジーズ・グループ(ATG)」を母体とした新会社に出資する。出資額はトヨタが4億ドル、SBG傘下のソフトバンク・ビジョン・ファンドが3億3300万ドル、デンソーが2億6700万ドルで、7~9月に出資を終える予定だ。

新会社の企業価値(72億5000万ドル)をベースにすると、3社合計の出資比率は約14%になる見通し。分社化後もウーバーが過半を出資し経営権は握り、トヨタとビジョン・ファンドは取締役を1人ずつ派遣する。

トヨタは出資とは別に、今後3年間で最大3億ドルのウーバー側の研究開発費も負担する。次世代の自動運転キットを共同開発し、ライドシェアサービス用の車両の量産化にメドをつける予定だ。デンソーもセンサーやカメラなど基幹部品の開発で協力する。

ライドシェアで使う自動運転車は、高性能のセンサーや半導体などを多く搭載し「市場に出るときには1台あたり数千万円くらいする」(SBGの孫正義会長兼社長)のが現状だ。原価低減や量産化のノウハウを持つトヨタやデンソー、資金支援ができるSBGがウーバーと組み、いち早く先行事例をつくる。

トヨタとSBGはこれまでも個別にウーバーや東南アジアの配車アプリ大手グラブなどに出資してきたが、同じタイミングでの出資は初めてとなる。トヨタとSBG子会社のソフトバンクは昨年秋、スマートフォンで予約できる「オンデマンドバス」などを展開する新会社の設立で合意した。トヨタとSBGは急速に距離を縮めており、今回の共同出資は新たな協業の枠組みといえる。

トヨタの強みはものづくりの基盤や販売・保守ネットワークなど「リアルの世界の競争力」(豊田章男社長)。一方、SBGは有望な新規ビジネスを見つけ資金面などで支援してきた。SBGの孫会長が昨秋の提携時に述べた「(トヨタと出資先の)両社を仲介したファミリーづくり」が進む。

SBGは世界各地のライドシェア最大手の筆頭株主で、乗車回数の世界シェアで9割を握る。トヨタはこうした企業との協業でMaaS事業の拡大につなげられる。SBGにとっても出資先の企業価値が上がればメリットは大きい。補完関係を生かし、スピード感をもって協業の効果を出して米グーグルなどに対抗できるかが焦点となる。

一方、ウーバーは5月の上場を控え、実際にトヨタなどの出資を受けるのは上場後になる。ウーバーは年間15億ドル超の研究開発費を費やしながら収益を生み出せていない自動運転部門の潜在的な価値を印象づけ、株式市場にウーバーの企業価値を大きく見せる狙いがあるもようだ。

(押切智義、シリコンバレー=白石武志)

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