2019年6月27日(木)

郡山、民間病院すくすく成長 国公立大手なく独自性競う
(東奔北走)

ヘルスケア
北海道・東北
2019/4/19 20:16
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医師や病院の不足、公的負担の大きさに悩む自治体が多い中、福島県郡山市の民間病院の成長ぶりが目立つ。南東北グループは世界最先端のがん治療に挑戦し、星総合病院は東日本大震災を乗り越えて自力で病院を刷新した。国公立の大手病院がないことで、民間病院が独自性を競い合う好循環につながっている。

南東北グループの陽子線治療センター

タワーマンションを併設した寿泉堂総合病院

「夢のがん治療の実現に挑戦したい」。3月30日、南東北グループの渡辺一夫理事長は合同入社式に出席した医師、職員らに意欲を語った。

グループ中核の脳神経疾患研究所(郡山市)が進めるのが、ホウ素を取り込ませてがん細胞を狙い撃ちにするホウ素中性子捕捉療法(BNCT)という世界最先端の試験。陽子線治療装置という国内で十数カ所しかない設備を持つが、さらに高度な治療に挑む。

南東北グループは開院から38年で全国100施設、医師職員約8千人に成長した。郡山本部の一般病院(461床)も今後200億円をかけて建て替える計画だ。

郡山市には先端治療で評価を得て業容を拡大した先例がある。1980年代に心臓カテーテルを使った冠動脈の手術を取り入れた星総合病院だ。優秀な医師が集まり、循環器系の専門医を多く育てた。最先端の治療法を医師らの集まった会場にライブ配信する研究会を20年以上続けている。

2013年には土地代を含め総額120億円を投じた430床の新病院を郡山駅の東側に建設して移転した。

「意欲の高い医師に集まってもらえるよう最新の設備を整える努力をしている」と太田綜合病院の太田善雄・副理事長は語る。グループの中心の太田西ノ内病院の許可病床数は1086と県立医科大付属病院(福島市)の778を上回り、県内最大だ。

多くの地方では国公立の病院が中核的な役割を担う。安定感はあるが人材が一極集中したり、大学の医局中心の硬直的なヒエラルキーをつくったりしがちといわれる。

ところが郡山は明治以来、民間病院主体だった。日本赤十字社など公的な大病院もない。04年に国立郡山病院が国の行革で市外の病院に統合され、民間が群雄割拠で競う構図が鮮明になった。

県の担当者は「(郡山のように)民間病院が自力で投資をしてくれるのは自治体の財政上ありがたいこと」と語る。

人口が郡山市と同規模の福島県いわき市の場合、18年開設のいわき医療センター(700床)の投資額は約444億円にのぼった。一部は県の補助があったものの市は大きな負担を抱えた。

郡山市の大手病院で最も長い歴史を持つ寿泉堂綜合病院。2011年開業の新病院は上層階にタワーマンションを併設し関係者を驚かせた。ただ近接の繁華街にもう一棟タワーマンションを建てる当初の計画はリーマン危機後に凍結された。予定地には旧病院の建物が残されたままだ。

そこから徒歩数分の場所には太田綜合病院が09年に閉鎖した旧病院がある。「街づくりの計画があれば協力したい」というが、今のところ周辺に再開発の動きはない。自力開発には数億円とみられる解体費用が足かせだ。

星総合病院も郡山駅西側に旧病院4棟が震災で損壊したまま残る。「大企業」の扱いとされ、震災後の公費解体の対象外になった。解体費用は震災直後に比べほぼ3倍の10億円近くになるもよう。3病院とも遊休不動産の再活用が重い課題だ。

(郡山支局長 村田和彦)

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