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王子HD、人工透析向け医薬品原薬を開発 社長が説明

王子ホールディングス(HD)は19日、研究開発について説明会を開いた。人工透析薬向けの医薬品原薬を10年後をめどに完成させるほか、プラスチックの代わりとなり包装材に使える紙素材の高機能品を今年度中にサンプル出荷する。加来正年社長は「他社にない技術を使って開発を進める」と話し、事業多角化へ意欲を示した。

王子HDは木材から繊維原料を取り出す過程でできる副産物を活用した原薬を開発中だ。5年以内に馬用関節炎薬向けに実用化し、10年後をめどに人の人工透析薬向けに使えるようにする。

開発中の原薬は人工透析で血液凝固を防ぐのに使うヘパリンの代替品として採用をめざす。ヘパリンは牛や豚の臓器から原料を採取するが、木質由来の成分を原薬に使うことでイスラム教徒の需要も見込めるという。

いずれは製薬会社に原薬を販売し、ハラル認証を受けた医薬品として市場投入する。ヘパリン医薬品の市場規模は約1兆円という。王子HDは原薬で将来は100億円規模の売上高をめざす。

プラスチックの代わりとなる紙素材については、今年度中に高機能品をサンプル出荷する。新素材はレシートに使う感熱紙などの塗布技術を活用し、外部から酸素や水分の浸入を抑える機能があるという。4月に一部サンプル出荷を始めたが、さらに高機能の製品を開発している。

国内の紙需要が縮小するなか、製紙各社は新規事業に力を入れている。王子HDは「製紙の核となっている技術を横展開する」(加来社長)ことで多角化をめざす。

(佐々木望)

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