新NAFTAで自動車販売14万台減、米国際貿易委が試算
【ワシントン=鳳山太成】米政府の独立機関である米国際貿易委員会(ITC)は18日、北米自由貿易協定(NAFTA)に代わる新協定が発効した場合の経済影響を試算した報告書を公表した。自動車が無関税になる条件が厳しくなることでコストがかさんで値上がりし、米国販売が14万台減ると指摘した。今後本格化する米議会の審議に影響を与えそうだ。

新協定「USMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)」が発効すると、北米の部材をより多く使わなければ無関税の恩恵を受けられなくなる。報告書は完成車工場の雇用が1600人減るが、エンジンなど部品生産が増えるため米国の自動車雇用は全体で2万8100人増えると算定した。
米経済全体でみると発効6年後には国内総生産(GDP)が0.35%拡大し、17万6千人の雇用増につながる効果を持つと見積もった。
一方、NAFTA再交渉を主導した米通商代表部(USTR)は18日、独自の試算を公表してITCに"反論"した。発効後5年で米自動車業界の雇用が7万6千人増えるなどプラス面のみをアピールした。
米貿易関連法に基づき米議会が新たな貿易協定を批准する際にはITCが報告書をまとめる必要がある。今回の報告書提出を受け、与野党の本格的な議論が始まる。トランプ大統領と与党・共和党は早期批准をめざすが、野党・民主党が協定文の修正を求めており、発効時期は見通せない。