4大監査法人「業務分離を」 英競争当局が最終報告書

2019/4/18 20:47
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【ロンドン=篠崎健太】英国の競争当局である競争・市場庁は18日、英監査業界の改革に関する最終報告書を公表した。「ビッグ4」と呼ばれる4大監査法人グループについて、監査とそれ以外の業務を組織内で分離するよう求めるのが柱だ。大手4社の寡占が監査の質を下げていると問題視し、上場する大企業には複数の監査法人による共同監査を義務付けることも提言した。

英国では相次ぐ大企業の経営破綻で、大手監査法人への批判が強まった=ロイター

英政府は報告書への見解や対応方針を90日以内に明らかにし、法制化の必要性などを判断する。

英国では建設大手カリリオンが2018年1月に経営破綻したのを機に、経営悪化を見抜けなかった外部監査人のKPMGなど大手監査法人への批判が強まった。競争・市場庁は18年12月、利益相反リスクを減らすため監査とそれ以外の非監査業務を組織内で分けたり、共同監査を導入したりする案を示して意見を募っていた。

最終報告書はこれまでの議論を踏襲した。まず大手4グループについて、決算書類が正しいか調べる監査業務と、経営や税務戦略を指南するコンサルティングなどの非監査業務を運営上分離するよう求めた。グループ内で経営や収益管理などを分け、監査部門は監査に集中すべきだと訴えた。

この背景には利益相反の懸念に加え、高収益な非監査部門の存在が監査部門を資金的にも支え、準大手以下の参入を妨げる一因になっているとの問題意識もある。政界からは別法人として完全に切り分ける「解体」論も上がっていたが、急進的な変更はリスクがあるとして踏み込まなかった。

ロンドン証券取引所に上場する主要350社を対象に、原則として2つ以上の監査法人による共同監査を義務付けることも提案した。英国では主要350社の97%の監査を4大法人が行っている。寡占を打破するため少なくとも1つは4大監査法人以外とし、準大手以下の参入による競争の活性化を促す。

競争・市場庁は声明で「市民の生計や貯蓄、年金は監査が高い基準で行われているかにかかっている」と述べ、改革の必要性を強調した。一方、市場関係者からは実効性に疑問の声も出ている。英金融業界団体ザ・シティーUKは「真の監査の質向上につながる証拠はない」とし、急進的な改革で副作用が出ないよう慎重な実施を求めた。

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