2019年5月22日(水)

米、キューバ制裁拡大 ベネズエラ「後ろ盾」に圧力

トランプ政権
北米
中南米
2019/4/18 17:08
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【ワシントン=永沢毅】トランプ米政権がキューバへの圧力を強めている。国交を回復したオバマ前政権のレガシーを否定し、同国が後ろ盾となっているベネズエラのマドゥロ政権を締め付ける狙いだ。同政権への支援を通じて「米国の裏庭」の中南米への関与を強めるロシアや中国に対抗する。しかし、自国企業がキューバで事業を展開する欧州やカナダの反発を呼ぶなど、米国の同盟国との亀裂をさらに深める事態となっている。

トランプ米大統領=ロイター

「圧政のトロイカの崩壊が始まる」。ボルトン大統領補佐官(国家安全保障担当)は17日、南部フロリダ州で中南米政策について演説し、ベネズエラ、キューバ、ニカラグアを名指しでこう批判した。3カ国はいずれも反米の左派政権が支配する。「この西半球では共産主義、社会主義の勢力を決して受け入れない」と訴えた。

ボルトン氏が制裁に言及するたび、会場は大きな拍手に包まれた。トランプ政権はこの日、中南米に対する制裁強化を相次いで明らかにした。柱は対キューバ制裁の強化で、1959年の革命後にキューバ政府が接収した資産に関して、米国人が損害賠償を請求する訴訟を起こせる対象に外国企業も含める。これまではキューバの企業や団体に対象を限定していた。欧州などの外国企業がキューバへの投資に二の足を踏み、経済を冷え込ませる効果がある。

96年に成立した法律に基づく内容だが、歴代の米政権はキューバに投資しているカナダや欧州の企業に配慮して発動を見送っていた。トランプ政権は23年間の凍結を5月2日に解禁する。オバマ前政権が廃止したキューバへの送金制限も復活させた。

キューバへの圧力強化にはベネズエラのマドゥロ政権の締め付けという狙いがある。99年にベネズエラ大統領に就任した故チャベス前大統領はキューバ革命の指導者、故フィデル・カストロ前国家評議会議長に師事した。ベネズエラはキューバに石油を提供する見返りに、軍や秘密情報機関、治安維持組織の人材を受け入れてきた。

軍や警察の情報機関はキューバ人抜きになりたたず、両国関係の主導権を握るのはキューバだという。トランプ政権はマドゥロ政権打倒にはキューバの影響力排除が欠かせないとみる。

「一国のキューバ政策の国外への適用は国際法に反する」。欧州連合(EU)とカナダは17日、米国による接収資産への損害賠償請求の解禁に反対する声明を出した。

キューバに投資している自国企業が打撃を受けるためだ。「世界貿易機関(WTO)ルールに整合する形で、我々の企業の利益を守るために協力する」などと、対応策の検討に乗り出す。

米国の裏庭である中南米で影響力を残したいロシアと、ベネズエラにとって最大の債権国である中国はマドゥロ政権の支援を続けている。中国は、米州開発銀行が中国・成都で3月に開く予定だった年次総会を前にベネズエラの野党陣営代表にビザを発給しなかった。

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