2019年5月22日(水)

北朝鮮、連日の米けん制 金正恩氏「新型兵器」を視察

北朝鮮
朝鮮半島
2019/4/18 16:54
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【ソウル=恩地洋介】北朝鮮メディアが18日、金正恩(キム・ジョンウン)委員長が「新型兵器の発射実験」を視察したと報じた。軍事に絡む最高指導者の動静が伝えられるのは2日連続だ。非核化交渉で譲歩しない姿勢をみせる米国へのけん制と、長引く経済制裁に揺れる北朝鮮内の求心力維持が狙いのようだ。24日ごろにはロシアのプーチン大統領との初会談を調整中で、局面打開に向けた対米工作に躍起になっている。

16日に空軍の飛行訓練を視察した金正恩氏=朝鮮中央通信

朝鮮中央通信によると、金正恩氏は17日、兵器の開発機関である国防科学院が実施した「新型戦術誘導兵器」の発射実験に軍幹部とともに立ち会った。兵器の詳細には触れず「特殊な飛行誘導方式と威力のある弾頭部装着」が高い評価を受けているなどと伝えた。

金正恩氏は兵器の完成を「軍の戦闘力を強化する上でとても大きな意味がある」と激賞した。「決心すれば、造れない兵器などない」と述べ、軍事技術の開発を奨励した。韓国国防省はこの兵器について「分析中」とだけコメントした。米メディアによると米軍は弾道ミサイルの発射を探知しておらず、射程数十キロ程度の低高度ミサイルとの見方が出ている。

金正恩氏は16日にも朝鮮人民軍航空部隊の飛行訓練を視察した。朝鮮中央通信によると、予告なしに部隊を訪れた金正恩氏は「首都の防空任務を頼もしく遂行している飛行士を見ると安心する」などと軍人をねぎらった。

連日の軍事視察の発表は、非核化を強く求めるトランプ政権へのメッセージと言える。米韓外交筋は「近く長距離弾道ミサイル実験などを再開する覚悟があると印象づけ、米国の姿勢の軟化を狙った」と分析する。

金正恩氏は12日の施政演説では3回目の首脳会談へ意欲を示し「今年末までは忍耐心を持って米国の勇断を待つ」と、米国に譲歩を迫っていた。もっとも、18日に報じられた「新型兵器」の写真や映像は公開しておらず、対米関係の決定的な悪化を避ける思惑もにじむ。

2回目の米朝首脳会談の決裂を受けて不満が鬱積する軍など内部向けの配慮も透ける。韓国の外交筋によると、北朝鮮内には非核化交渉に応じたのに制裁緩和の見通しが立たないことへの失望が広がっている。金正恩氏が打ち出した経済優先の方針に不満を強める軍への配慮を余儀なくされている可能性もある。

金正恩氏は対米交渉の打開のために、あらゆる外交的な手を尽くす姿勢をみせている。ロシア紙イズベスチヤによれば、24日からロシア極東のウラジオストクでプーチン氏と金正恩氏が会談する準備が進んでいる。

ロシアはシリア問題などで米国と対立を深めているが、国連安全保障理事会の常任理事国として国際的な対朝制裁の議論に影響力を持つ。金正恩氏はプーチン氏との会談で国連の対朝制裁の緩和に向けたロシアの支持を取り付け、米国の柔軟姿勢を促す戦略を描いているようだ。

ロ朝首脳会談が実現すれば、2011年に故金正日総書記が東シベリア・ウランウデでメドベージェフ大統領と会談して以来となる。金正恩氏も当時の金正日氏と同様、特別列車でウラジオストク入りするとの観測が浮上している。

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