2019年7月19日(金)

他人のiPS移植「実用化へ7合目」 理研、術後良好

2019/4/18 11:13
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理化学研究所などは18日、備蓄した他人のiPS細胞から育てた網膜の細胞を目の難病患者に移植する臨床研究の経過を発表した。5人に移植し1年たった段階での経過は良好で、安全だと確認した。視力低下も抑えられた。実用化で本命視される他人のiPS細胞を使う方法で、安全性と一部の有効性が確かめられ、理研の高橋政代プロジェクトリーダーは「実用化に向け7合目まで来た」と評価した。

成果は東京都内で18日に始まった日本眼科学会で高橋氏が発表した。研究チームと連携する大日本住友製薬などは国の承認を目指した臨床試験(治験)を準備中だ。同社は2022年度の実用化を目指している。

様々な細胞に成長できるiPS細胞は、再生医療の切り札とされる。国内では、治療が難しいパーキンソン病や脊髄損傷、心臓や角膜の病気などでも臨床応用に向け動き出している。理研などが初めて人に移植する臨床研究に着手した目の難病「加齢黄斑変性」は、治験が始まったパーキンソン病と並んで先頭を走る。iPSの臨床応用で、世界をリードできるとの期待が集まっている。

理研などは14年に、失明を招くこともある加齢黄斑変性の患者に、世界初の移植手術を臨床研究として実施した。この時は患者本人から作ったiPS細胞を活用した。これに対し、あらかじめ安全性を確かめた他人のiPS細胞を使えば、1人当たりの費用を大幅に削減できる。備蓄細胞は必要なときにすぐに使える利点もある。

今回の臨床研究は同じ病気の患者が対象で、理研と神戸市立医療センター中央市民病院、神戸市立神戸アイセンター病院、大阪大学、京都大学が協力し実施した。17年3月以降に順次、京大で備蓄している他人のiPS細胞から育てた網膜細胞を移植した。

1年後、5人とも移植細胞が定着していた。損なわれた目の構造が修復できたことも確認した。iPS細胞は拒絶反応が起こりにくい特殊なタイプを利用したが、1人で軽い症状が出た。ステロイド剤の投与で抑え込むことができ「予想通りの結果」(高橋氏)だった。

iPS細胞を用いた臨床研究結果について発表する理化学研究所の高橋政代氏(18日午前、東京都千代田区)

iPS細胞を用いた臨床研究結果について発表する理化学研究所の高橋政代氏(18日午前、東京都千代田区)

合併症は網膜がむくむ症状が出て1人が入院治療したが、臨床的に重症ではなかった。

視力はほぼ維持され、1人は向上した。ただ薬の投与も続けており、移植の効果かどうか判断しにくいという。研究チームは視力が悪化するのを防げた点で有効だと評価した。今後は新たな臨床研究などでどのようなタイプの患者で特に効果が高いかなども探る考え。

加齢黄斑変性は国内患者が約70万人に上る。異常な血管が成長するのを防ぐ薬などが使われるが、効きにくい人もいる。根治が難しい病気の一つだ。

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