五輪、交通混雑緩和へ総力 政府がテレワーク試行発表
2020年東京五輪・パラリンピックの期間中に予想される交通混雑の緩和に向けて、政府は17日、職員2万人規模でテレワークや時差出勤を試行すると発表した。政府は都内の一部で20~30%の交通量の抑制を目標に掲げており、民間企業に協力を呼びかけ、官民が一体で大会本番の混雑緩和を図る。

政府は同日、関係省庁や関係自治体などによる交通輸送に関する会議を開催。鈴木俊一五輪相は「国が率先して試行に取り組む。その結果を本番に生かしていかなければならない」と強調した。
大会開催の1年前にあたる19年7月22日~8月2日と、8月19~30日を試行期間とし、時差出勤やテレワークなどを実施する。最も混雑する日と想定した「コア日」の7月24日は本府省常勤職員の5割にあたる2万人規模となる。職員らは朝の通勤ラッシュの時間帯を避けて出勤する。
東京都も大会期間中に職員のおよそ半数にあたる5千人を対象に時差出勤やテレワークを推進し、今夏に試行する。
大会組織委員会などは大会時、会場周辺駅や近隣路線を中心に局所的な混雑が発生するとし、高速道路でも渋滞が現状の2倍近くになると想定。大きな混雑が予想される都内16地区については交通量を「20~30%程度抑制する」と目標を掲げる。
カギとなるのが民間企業の対応だ。NTTデータは大会期間中に時差出勤やテレワーク、休暇取得を社員に推奨する。仮想現実(VR)を活用した遠隔会議などを試行しており、同社担当者は「社員が交通混雑を回避でき、都内のスムーズな交通運営にも寄与できる」とメリットを話す。
一方、大田区などで保険代理店を経営する男性は「人手不足で時差出勤をさせる余裕がない」。出店先企業との営業時間の調整などが必要で「サービス業ではテレワークや休暇取得の導入は自社だけでは決められない」と話す。
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