2019年9月19日(木)

変わり果てた大聖堂 市民ぼうぜん「元通りに」

2019/4/16 21:39
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【パリ=共同】外壁は黒焦げ、尖塔(せんとう)も木造の屋根も跡形がなかった。ノートルダム寺院の火災から一夜明けた16日、パリの日常風景の一部だった大聖堂の変わり果てた姿を市民はぼうぜんとながめた。悲しみの涙を浮かべる一方で「きっとまた元通りになる」と修復に希望を託した。

パリを東西に流れるセーヌ川に浮かぶシテ島。島内にあるノートルダム寺院周辺は16日朝も依然、規制線が張られて近づけないが、焼け焦げたにおいが漂っていた。

シテ島から、南側の「セーヌ左岸」に橋を渡ると2つの鐘楼がそびえる寺院の西側正面が見えた。消防車両のはしごがある以外、一見普段通りだが、川岸を歩くと三角形の屋根が全くなくなっている光景が目に入った。

ステンドグラスが有名なバラ窓の上方の外壁はすすけ、小窓のガラスもない。何より、その後ろにあるはずの尖塔が失われていた。

近くに住むカンタン・ティソさん(30)はセーヌ川に架かる橋から寺院の後部をじっと見つめていた。「大聖堂を毎日見てきた。昨日の火災を見るのは恐ろしかった。今朝もつらい」と涙をこぼした。「でも大聖堂は立っている。きっと前と同じ姿に修復されると思う」と話した。

川岸で寺院の写真を撮る大勢の中には日本人観光客の姿も。横浜市から訪れた女性(24)は「きょう訪れる予定だったのに」とショックを受けた様子。同伴の母親は寺院の被害について「かわいそうだ」と嘆いた。

パリに住む建築家の岡部太郎さん(44)は通勤途中に建物の状況を見ようと訪れた。昨夜はセーヌ川北側の市庁舎前広場から、多くの市民らと燃える寺院の様子を見ていた際、尖塔が焼け落ちるのを目撃。周囲から悲しげな声が聞こえたが、とても静かな印象だったという。「キリスト教徒ではないが、街の一部だった大聖堂には特別な思いがある。生きているうちに直るのかどうか」。息が長い仕事が必要だと肩を落とした。

同僚と一緒に寺院を見ていたポーランド出身の修道女ルツィアさん(33)は「所属する教会が違っても私たちのノートルダムだ」と強調。「つらい出来事だが、世界中から連帯のメッセージが寄せられていることに希望も感じる」と訴えた。

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