2019年5月21日(火)

大戸川ダム 復活の足音 滋賀知事が建設容認

関西
2019/4/16 20:23
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滋賀県の三日月大造知事は16日の記者会見で、国土交通省が本体工事を凍結中の大戸川ダム(大津市)の建設を容認する方針に転換した。洪水対策に一定の効果があると判断したためだ。環境への影響などを理由に、同県とともにダム建設に反対した大阪府と京都府の対応が焦点となる。

ダム建設の容認を表明した滋賀県の三日月大造知事(16日、大津市)

三日月知事は「将来にわたって県民の命を預かる責任から、ダムは必要であると判断し、国に対して早期の整備を望む」と述べた。今後、国や淀川流域の京都府や大阪府に対して、県の考えを説明する。日程は「現時点では未定」とした。

県が設置した有識者をまじえた勉強会で、大戸川と琵琶湖に治水の効果があるという結論を踏まえた判断だ。ただ、琵琶湖への水位抑制効果は限定的とされる。

2008年、淀川水系に関係する大阪、京都、滋賀、三重の4府県は同ダム建設に反対。国交省は09年3月に策定した淀川水系の河川整備計画で、本体工事の凍結を盛り込んだ。滋賀県が建設を容認しても下流域の大阪府、京都府が同調しなければ本体着工できない。

同日、大阪府の吉村洋文知事は「まず滋賀県からの報告を受けたい。府独自の専門家委員会を立ちあげて方針を決める。府の負担に見合うか検証し、すぐには容認しない」と述べた。

京都府の西脇隆俊知事は「滋賀県内に及ぼす効果を県が検証されたものと認識している。県の動きを見守りたい」とのコメントを出した。いずれも現時点での判断は控えた格好だ。

今後の判断材料の一つが財政負担だ。ダム事業費の負担割合は大阪府が17%、京都府が12%、滋賀県の1%に比べて多い。現時点で全体事業費は1080億円だが、18年3月末時点で付け替え道路の建設などに710億円が支出済み。本体工事で事業費が膨らめば、自治体の負担額も増える。

ただ、建設反対で一枚岩だった08年当時と府県の政治情勢は変化している。環境への影響などを理由に反対を強く主張した滋賀県の嘉田由紀子知事のほか、大阪府の橋下徹知事、京都府の山田啓二知事はいずれも退任。京都府は国交省出身の西脇知事が就任した。

滋賀県知事の方針転換は、いったん中止の方針だったダムの建設が復活する芽が出てきたといえそうだ。

大戸川ダム 大津市で国交省が建設を計画している治水ダム。事業費は1080億円だが、増える可能性がある。当初は大阪府、京都府、大津市が水道水用の水源確保のために事業費を負担していたが、水需要が伸びず撤退し、国交省もいったんは中止の方針に傾いた。その後、流水型(穴あき)ダムとして復活したのに滋賀県などが反発して凍結、という複雑な経緯をたどっている。

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