2019年9月23日(月)

トリプルB格、欧米10年で4倍 膨らむ企業債務に危うさ

2019/4/16 19:18
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2008年の金融危機から10年あまりたち、世界の金融システムに再びもろさが見え始めてきた。浮かぶのが民間の「債務」に潜む危うさだ。長引く低金利で信用力の低い企業を中心に借金が膨らみ、金融安定のリスクになっている。

「先進国で企業の借金が増え、借り手の信用力が悪化している」。国際通貨基金(IMF)が10日に国際金融安定性報告書を公表した際、トビアス・エイドリアン金融資本市場局長が記者会見で最初に挙げた懸念材料が、企業債務だった。

債務残高は欧米あわせて24兆ドル(約2700兆円)と、この10年で4割も増えた。世界的な金融緩和で国債の金利は歴史的な低水準に下がった。少しでも利回りを得ようとマネーは社債に殺到し信用力の低い企業も低金利でお金を借りられるようになった。トリプルB格という比較的格付けの低い社債の発行残高は欧米で4.3兆ドルにのぼる。10年で4倍に増えた。

懸念されるのが、「クレジットサイクル」と呼ぶ循環の動きだ。この循環は、投資家がリスクのある投融資に走り、バブルのような状況になったときを「山」とし、金融不安のように取引が極端に敬遠される状態を「底」とする。IMFは、現状は近年で最も過熱している状況で「成熟期を迎えている」と分析する。

景気の急減速や市場の混乱が起これば、これまでの流れが逆回転しかねない。信用力が低い企業にまで大量にマネーが向かっているだけに、金利が急上昇すれば債務を返せなくなる企業が続出する恐れもある。

米連邦準備理事会(FRB)の利上げ休止など、主要国の金融政策は正常化がとまっている。IMFは「金融緩和が続けば、債務の増加はさらに続き、将来、大きな景気後退につながりかねない」と緩和の副作用にも警鐘を鳴らしている。

急増する企業債務、外資頼みの新興国市場、揺らぐ住宅価格。金融安定のもとでふくらむ危機の芽をIMFの報告書などから探る。

(ニューヨーク=後藤達也)=随時掲載

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