2019年4月19日(金)

台湾総統選、候補者選び混沌 鴻海郭董事長も出馬検討

エレクトロニクス
中国・台湾
2019/4/16 18:50
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【台北=伊原健作】台湾で約9カ月後に迫る次期総統選を巡り、与野党で候補者が乱立している。電子機器の受託製造サービス世界最大手、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業の郭台銘(テリー・ゴウ)董事長が16日に出馬を検討中だと表明した。出馬が想定される対中融和路線の最大野党・国民党の候補者選びは激戦になりそうだ。与党・民主進歩党(民進党)も候補者選定が難航し、選挙情勢は混沌としている。

鴻海の郭台銘董事長(3月17日、台湾南部・高雄)

「もし(出馬を)決めれば、必ず(国民党の)候補者選びに正式参加する」。16日に郭氏は総統選に出馬するか「2日以内に決断する」と表明し、国民党からの出馬を検討していると明言した。

郭氏は国民党寄りで知られ、同党によれば「50年前から党籍を保持している」という。2012年の総統選では2期目を目指し出馬した国民党の馬英九・前総統が一時劣勢に立たされ、郭氏は馬氏の支持を熱心に訴えて当選を支えた。鴻海の社外取締役に国民党副主席を務めた有力者を登用している。

18年11月の統一地方選では蔡英文政権の不人気などで、台湾独立志向を持つ民進党が大敗し、国民党は20年1月の総統選での政権奪還に前進した。台湾が親中に傾けば東アジアでの米中の勢力争いにも影響するだけに注目を集めるが、候補者が乱立し、今後の予備選は激戦が必至で、郭氏が参戦すればさらに拍車がかかる可能性がある。

焦点になっているのが元青果市場の経営者でトランプ米大統領に似た過激な発言で若者らの人気を集める国民党の韓国瑜氏だ。民放TVBSが3月に発表した世論調査では、韓氏は民進党の潜在候補に10ポイント以上の差をつけて大勝するとの結果が出た。

台湾では20~24歳の18年平均の失業率が12%と高く、若者の就職難や低賃金が社会問題化している。幅広い世代で経済格差が拡大していることにも不満が強まる。

韓氏は農産品の売り込みや観光客の誘致などの対中交流を促進し、経済成長を実現すると訴えて人気を博した。一方で郭氏は鴻海を世界的な企業に育てた実績を持ち、参戦すれば韓氏の有力なライバルになる可能性がある。成功大学の蒙志成准教授は「経営者としての実績は圧倒的で、経済政策での説得力は強力だ」と指摘し、「国民党の公認候補となり、総統選に当選する可能性は十分ある」とみる。

同党ではほかにも前新北市長の朱立倫氏、前立法院長(国会議長)の王金平氏といった有力者も出馬を表明。7月をメドに公認候補者を決める見通しだが、乱戦が予想される。

一方で民進党の候補者選びも難航している。蔡氏が2期目を目指し出馬する方向で党内主流派は一致していたが、独立志向が強い頼清徳・前行政院長(首相)が3月に突如出馬すると表明した。主流派は頼氏に出馬を断念し蔡氏に譲るよう説得に当たったが決裂した。本来は今月17日に候補者を決める予定だったが、5月22日以降に候補者選びの日程を延期した。

年明け以降、中国が統一に向けた圧力を強めたことで台湾では対中警戒感が強まった。台湾の独自性を重視する民進党に追い風になるとの見方も出ていたが、党内の混乱で党勢回復に逆風になるとの懸念を強めている。一方、国民党では郭氏が参戦すれば混乱で選挙戦にマイナス影響が出る可能性がある。ただ話題性が高まり追い風になるとの声もあり、影響への見方は交錯している。

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