2019年6月17日(月)

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「主語を変える」という挑戦 スポーツ使って共創
FIFAコンサルタント 杉原海太

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2019/4/17 6:30
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サッカーのプロリーグ、Jリーグには「社会連携本部」という部署がある。そこに連なるワーキンググループのメンバーに2018年秋からなっている。JリーグとJクラブが推し進めるホームタウン活動を側面から支援するのが役目。その現場で感じることを土台にスポーツを取り巻く環境の変化について語ってみたい。

平成から令和に元号が変わることに乗って主張するわけではないが、ここに来て潮目の変化を感じる。

スポーツビジネスでいえば、平成の時代に大きく発展したモデルは、とにかく権利の受益者を限定することだった。ハードルをどんどん高くして「これを使えるのは御社だけ」という形で価値をつくり、値づけし、売りさばいてきた。放映権や公式スポンサーなどはその典型だ。

それはそれで今後も続くのだろうが、その弊害と呼べるようなことも目につく。一般のお客さんはスタジアム内でビデオも回せない、スポンサー以外の企業は自分たちの社員である選手の壮行会で「五輪」という言葉も使えないとか。権利ビジネスは排他性と表裏一体で、権利を買った企業に対してすら、実際に使おうとすると「あれもダメ」「これもダメ」とクギを刺される。

社会全体でスポーツをシェアする流れ

それに対して(Jリーグの社会連携プロジェクトもそうだが)、今、世に広がりつつあるスポーツの新しい形は、いろいろな人がスポーツとつながりを持てるようにハードルを低くし、スポーツを社会課題の解決に役立てるというアプローチである。パソコンを動かすソフトに高いお金を払う必要がなくなったように、皆でモノやコトを共有するシェアリングエコノミーが広がっているように、社会全体でスポーツをシェアする流れがこれから勢いを増すと感じている。

Jリーグの村井満チェアマンやJリーグの社会連携プロジェクトのリーダーを務める米田恵美理事はそれを「主語を変える」と表現する。

Jリーグは本邦初のサッカーのプロリーグとして26年前に産声をあげたが、その計画段階から地域密着やスポーツ文化の振興と発展、国際性の獲得などが理念として盛り込まれた。JリーグとJクラブは地域社会への貢献を「ホームタウン活動」と名づけ、実際にサッカー教室の開催、学校訪問、地元の商店街のプロモート等、ありとあらゆる活動をそれぞれのクラブと地域の特性に応じた形で展開してきた。

J2の町田ゼルビアは今季開幕戦で最寄り駅からスタジアムまで「歩く」イベントを企画。さまざまな立場の人が歩きながら、街おこしについて考えた

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「主語を変える」とは、その行動主体をひっくり返すという意味だ。地域のためにJリーグが何かをするのではなく、地域の人々がJリーグやJクラブを使って何かをするという発想の逆転。自治体、地域住民、企業などが主語になり、スポーツを使ってできる「何か」を発掘する。彼らをステークホルダーに見立てた場合、それぞれを横につなげる。その際、クラブは人と人をつなぐハブ(車輪の中心)になるわけである。

一般社会でも、いろいろなタイプの人が集まり、コラボーレションすることで新しいイノベーションを生み出すことを「共創」、そういう場を「ラボ」と呼んだりするようになっている。Jリーグが社会連携プロジェクトとしてやろうとしていることも、それに近いものがあると感じている。

今後の共創、ビリヤードのイメージ

その方が効果的にいろんな立場の人がスポーツに関与できるし、立場の異なる人が交じり合うことで、新しい発想や新しい使い方を見つけやすい。キュー(木の棒)ではじかれた球が別の球をはじき、その球がまた別の球をはじく、そんなビリヤードのような姿がこれからの共創のイメージとして私にはある。

スポーツにとっても、これは非常に筋がいい話だと感じている。というのも、スポーツのクラブは地域社会において、半官半民的な公共財的存在であるからだ。ビジネスの側面はもちろん強いけれど、地域社会におけるシンボルとして自治体、企業、ファン(住民)、NPO(非営利団体)らとやり取りする機会が自然にある。そういうスポーツを触媒として使うことは合理的かつ、ごく自然なことに思えるのである。

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