2019年4月19日(金)

米の厳しい対日要求も 為替も議題、15日から貿易交渉

トランプ政権
貿易摩擦
経済
北米
2019/4/16 1:31
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【ワシントン=河浪武史】トランプ米政権は対日協議で、かつて合意した環太平洋経済連携協定(TPP)を上回る厳しい条件交渉に乗り出す方針だ。13日にはムニューシン財務長官が円安をけん制する「為替条項」を求めると表明した。自動車では日本の輸出数量規制も焦点となる。15日からの日米貿易協定交渉で、米国は踏み込んだ要求をする可能性がある。

米は厳しい要求をしてくる可能性がある。写真は茂木経済財政相(右)とライトハイザー米通商代表部代表(手前左)(2018年8月、ワシントン)=代表撮影・共同

米は厳しい要求をしてくる可能性がある。写真は茂木経済財政相(右)とライトハイザー米通商代表部代表(手前左)(2018年8月、ワシントン)=代表撮影・共同

日米は昨年9月の首脳会談で物品貿易協定(TAG)の交渉開始などを盛り込んだ共同声明を発表した。同時期に米中の貿易摩擦が激化し、日中両方との交渉を手掛けるライトハイザー米通商代表部(USTR)代表が中国問題にかかり切りになってしまった。米政府機関の一時閉鎖などの影響もあって、開始が4月にずれ込んだ。

「日本が市場開放に応じなければ日本車に20%の関税をかける」。トランプ米大統領は中西部などへ遊説に出向くたびにそう繰り返す。日本の基幹産業である自動車をターゲットに追加関税をちらつかせ、交渉を有利に進めようともくろむ。

米自動車業界は「TPP以上の協定」(米自動車政策評議会のチャールズ・ユーサス副会長)が必要と訴えている。米国の対日貿易赤字は年688億ドルだが、自動車関連だけで536億ドルもある。TPP交渉では非関税障壁の見直しで合意したが、米国側は「貿易不均衡の解消には不十分」とする。

自動車業界は「通貨安誘導を制限する為替協定」(ユーサス氏)も求めている。日本勢が円安を背景に輸出攻勢をかけることを警戒する。ムニューシン氏は13日、日米が15日から始める貿易協定交渉で「為替も議題となり、協定には通貨切り下げを自制する為替条項を含めることになる」と述べた。

最大の争点は自動車の対米輸出の数量規制だ。景気や為替相場に左右されることなく、貿易赤字の拡大に歯止めをかけられる。世界貿易機関(WTO)ルールに違反する禁じ手だが、ライトハイザーUSTR代表が持ち出す可能性は高い。

USTRはカナダとメキシコに自動車の輸出数量規制をのませた。ライトハイザー氏がUSTR代表に登用されたのは「1980年代の対日鉄鋼協議で日本の輸出自主規制を実現した手腕が評価された」(トランプ陣営幹部)。韓国との交渉でも鉄鋼の数量規制を入れこむなど、対米輸出に上限をかける手法はライトハイザー氏の得意技だ。

農畜産品でも「TPPと同等かそれ以上を求める」(パーデュー米農務長官)。米国産豚肉は日本の輸入全体の28.7%(2017年)にとどまり、シェアは10年間で12ポイントも下がった。米国を除くTPP11の発効でカナダ産の輸入が一段と増え、米国の危機感は強い。

「TPP11の発効が強い逆風となった。日米協定の早期締結が必要だ」。全米豚肉生産者協議会などの団体が優先するのは対日協議のスピード決着だ。パーデュー氏はライトハイザー氏に「農産品で(先行して)暫定合意を結ぶことを望んでいる」と伝えている。

薬価制度も火種となりそうだ。USTRは18年12月に公表した対日交渉での要求22項目の中に「医薬品や医療機器に公正な手続きを求める」と盛り込んだ。米経済団体の対日交渉トップは「薬価制度に切り込むことを表現した」と断じる。

米国ではがん治療薬などが極めて高額だ。ただ、日本は財政を圧迫する新薬の価格を下げやすくする制度に変えた。高額医薬品を日本でも販売したい米製薬会社は強く反発した。トランプ氏は米製薬会社に米国内での薬価引き下げを求める一方、貿易交渉を通じて海外で利益を上げやすくすると主張しており、日米協議での争点となる。

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