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豊島逸夫の金のつぶやき

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112円を巡る日米温度差、10連休で露呈も

2019/4/15 10:10
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外為市場では先週末にかけて111円前後から一気に112円前後まで円安が進行した。日本では「株高になれば安全通貨である円が売られ、円安になる」と解釈される。

ところが米国では「株高を受けて安全通貨としてのドルや安全資産としての米国債が売られ、外為市場ではドル安になった」と言われる。実際に12日のドルインデックスも前日比で0.2%ほど下落した。ニューヨークのヘッジファンドでも「安全通貨は米ドル」との認識が根強い。

「対円ではドル高・円安に振れている」と持ち掛けても、それは円に特有な現象と割り切っている。少なくともヘッジファンドが投機的に円売りを強める動きは感じられない。

12日に米国債券市場では、米国債が売られた結果、10年債利回りが2.5%台前半から同後半まで上昇しているが、米外為市場ではドルが売られていることも示唆的だ。

では買われた通貨はといえば、ユーロである。ドル・ユーロは世界の外為市場で最も売買量が多い通貨ペアで、そのユーロの対ドル相場は12日に1ユーロ=1.12台から1.13台へ上昇した。市場では過度な欧州悲観論を反省する機運もあり、投機的なユーロ売りの巻き戻しが進んでいる。これも重要なドル安要因だ。

日本市場は為替といえばドル・円がまず思い起こされるが、ニューヨーク市場では為替といえばドル・ユーロが連想される。日本では今週15、16日にワシントンで開催される日米貿易協議に注目が集まっている。だがニューヨークのヘッジファンドは「そういうこともあるのか」と言われて気が付く程度で、関心は強くない。貿易交渉などについてムニューシン財務長官が、通貨安への誘導を禁じる「為替条項」に関わる発言をしても「当然のこと」と受け止めている。

円独自の要因として何に注目するかとなると、やはり「日銀」との答えが目立つ。日銀による追加緩和の手詰まり感で、円高が進むシナリオを特に注目している。日銀が「緩和負け」するとの読みだ。

この為替市場での日米間の温度差は、来る日本の10連休にあらわになる可能性がある。円相場がニューヨーク市場の判断基準で動くことが予想されるからだ。

特にニューヨークの現地メディアによる観測記事には要注意だ。日本の投資家の留守中に日銀の金融政策に関する英文報道が独り歩きして、円相場が乱高下するリスクには要注意だろう。

さらに、時を選ばぬトランプ大統領による米連邦準備理事会(FRB)利上げ批判がドル安・円高圧力をもたらす可能性がある。現職の大統領が「FRBの利上げがなければダウ工業株30種平均は5000~1万ポイントも高く、経済成長率は4%を超えただろう」との観測をツイートするなど異例中の異例だ。2020年の米大統領選挙を視野に、再選確保のためには手段を選ばぬ姿勢が透ける。

いまやドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁まで、中央銀行への政治介入を憂う発言を始めた。「ミスター・クロダの見解はいかに」との質問も聞かれる。日銀が仮にも、一般論にせよ、中央銀行の政治的独立に言及すれば、思わぬ投機的な円高を招きかねない。

日本の10連休を、ヘッジファンドはチャンスと見ている。

豊島逸夫(としま・いつお)
 豊島&アソシエイツ代表。一橋大学経済学部卒(国際経済専攻)。三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)入行後、スイス銀行にて国際金融業務に配属され外国為替貴金属ディーラー。チューリヒ、NYでの豊富な相場体験とヘッジファンド・欧米年金などの幅広いネットワークをもとに、独立系の立場から自由に分かりやすく経済市場動向を説く。株式・債券・外為・商品を総合的にカバー。日経マネー「豊島逸夫の世界経済の深層真理」を連載。
・公式サイト(www.toshimajibu.org)
・ブルームバーグ情報提供社コードGLD(Toshima&Associates)
・ツイッター@jefftoshima
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