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タイガー・イズ・バック 家族の支えで14年ぶり復活V

ウイニングパットはボギーとなった。だがそんなことは関係ない。60センチほどのパットを決めると、タイガー・ウッズはひと呼吸置いて両手を掲げガッツポーズ。雄たけびをあげた。目は潤んでいるようにみえた。

最終組をともに回ったモリナリが初日の12番から続けてきた連続ノーボギーが、7番のボギーで49で途切れた。マスターズ記録(50ホール)の一歩手前。その瞬間から、オーガスタに潜む魔女のいたずらのタクトが激しく動いた。

堅守揺るがずと見えたモリナリがアーメンコーナーの12番パー3で第1打をクリークへと落としてダブルボギーで意気消沈。かと思えばメジャー3勝の飛ばし屋ケプカは12番でダブルボギー、続く13番パー5でイーグル奪取とまるで乱気流にのみこまれたかのよう。

「誰が勝っても不思議はなかった」。その中で11番は右林に入れるなど決してショットは真っすぐ飛ばなかったウッズだが、大会を通じてパーオン率は全体1位の80.56%。難しい11、12番をパーでおさめ、13番パー5を2オン2パットのバーディー。アーメンコーナーを定石通りに切り抜けると、最後のパー5の15番も確実にバーディー。その瞬間、今大会初めて単独首位に躍り出た。

「自分のゴルフに集中できたのが大きい。冷静さを保つことができたのが一番」。かつては先行逃げ切りを得意としたウッズにとって、年の功を重ねた新境地ともいえる珍しい試合運びでメジャー15勝目を飾った。

最終ラウンド、逆転で優勝を決め、家族と喜ぶタイガー・ウッズ(右手前)=共同

43歳にして14年ぶりのマスターズ5勝目。1986年のニクラウス(米国)の46歳2カ月23日での大会6勝目に次ぐ年長優勝となる。97年の初優勝を見届けてくれた父アールさんはもうこの世にいない。結婚と離婚、それにまつわるスキャンダルにまみれるウッズの転落劇は父が亡くなった影響も大きかった。「もちろん、勝った瞬間、父のことを思い浮かべていたよ」。あの涙の意味はそうだったのか。

「タイガー・イズ・バック」。スーパースターが戻るべき場所に帰ってきたのをグリーンそばで出迎えたのは最愛の子ども2人。「彼らは去年の全英もコースにいた。2度も負ける姿を見せるわけにはいかなかった」。22年前、父に贈った初優勝の喜びを、今度は子どもに父からプレゼント。家族の存在なくして復活はなかった。

(オーガスタ〈米ジョージア州〉=串田孝義)

トロフィーを掲げるタイガー・ウッズ=ロイター
2005年、マスターズを制し、前年優勝のフィル・ミケルソン(左)からグリーンジャケットを贈られる=共同
最終ラウンド、17番でラインを読む=ゲッティ共同
最終ラウンド、15番でコースを歩く=ロイター
最終ラウンド、3番で大観衆が見つめる中、ティーショットを放つ=ロイター

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