2019年6月17日(月)

スズキの検査不正、一気に拡大 隠蔽が常態化

品質不正
自動車・機械
2019/4/13 19:41
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記者会見で謝罪するスズキの鈴木俊宏社長(中)(12日、東京都港区)

記者会見で謝罪するスズキの鈴木俊宏社長(中)(12日、東京都港区)

2018年夏に発覚したスズキの検査不正が一気に広がりを見せている。12日に新たにブレーキ検査などの不正が発覚。数値をかさ上げし不合格の結果を「合格」とし、1980年代から無資格者が検査するなどの不正があり、組織的な隠蔽も確認された。同社は徹底したコスト削減で知られるが、品質管理を軽視してきた経営体制が厳しく問われる。

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「合格範囲内で数値を書いておけ」「書き直しをするとチェックシートが汚くなる」。スズキが12日に公表した出荷前に実施する完成検査の不正に関する外部調査報告書には、上司が検査員に指示した文言が並ぶ。

スズキが18年8、9月に発覚した不正を受け法律事務所に依頼した調査は、社内のデータを検証し、検査員ら約300人向けのアンケートと経営層を含む320人に聞き取りを実施した。

四輪車のすべての車両をチェックする全数検査ではブレーキやハンドル、速度計、ライトなどで約10項目の不正があった。決められた手順で検査せず本来不合格のものを合格にしたり、一部を省略したりしていた。

例えばブレーキの制動力では、複数の検査員が検査機器で不合格と判定された車両を合格としてチェックシートに記載して再検査していなかった。乗車人数を変え合格の結果を得ていた事例もあった。92年ごろからブレーキペダルを規定よりも強く踏み合格の数値を出す不正がされていた可能性がある。

無資格者による完成検査も判明した。検査員として登用される前に単独で完成検査をしたと話す従業員がいた。教育期間中にもかかわらず、検査員の印鑑を借り検査をしたとの供述もあった。一部では81年ごろから始まっていた可能性がある。

自動車業界の無資格検査は17年、日産自動車SUBARU(スバル)で発覚した。スズキは当時「無資格検査はない」と国土交通省に報告していた。その裏側で、検査補助者が単独で実施したことが発覚することを恐れ、書類の差し替えなどで隠蔽していた。こうした実態は課長クラスまで認識され、悪質だ。

スズキは販売価格の安い軽自動車や小型乗用車が主力で、徹底した工数、部品などの削減で知られる。報告書は「少人」と呼ばれる同社の工場全体の人員削減で検査部門が軽視されていたと指摘した。

12日の記者会見で鈴木俊宏社長は「あくまで機能や品質などを確保したうえでのコストダウンと理解されるべきところが、誤った理解に結びついたのではないか」と話した。スズキは18年3月期まで8期連続で毎年200億円以上の原価低減をしてきたが、過度なコスト削減で現場が疲弊していたのは否めない。

スズキは16年に発覚した燃費不正後も体質を変えられなかった。報告書はその原因として余力がない人員計画などを挙げ「規範意識の著しい鈍麻」「内部統制の脆弱さ」と厳しく指摘した。スズキは不正を受けたリコール(回収・無償修理)関連費用で800億円の特別損失を計上する。ブランドイメージへの悪影響が広がり、経営に一段と打撃になる可能性がある。

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