青に染まる街、インドの城塞 三好和義「至高の楽園」

日々、時間に追われる働く女性に必要なのは、心の楽園。写真一枚で心が飛んで行ける「至高の楽園」を、写真家・三好和義さんがお届けします。楽園をテーマに40年間写真を撮り続ける三好さんが今回選んだ楽園は、インド北西部の通称「ブルーシティ」。人気漫画『ワンピース』に登場する街のモデルとも噂されています。自分へのご褒美旅はここに決定!
今回の至高の楽園は、インド・ジョードプルの旧市街の眺め
――およそ10kmに及ぶ城壁に囲まれた街・ジョードプルのシンボルはインド最大級のメヘラーンガル城。約130mの岩山にそびえ立つその城から見下ろすと、街中が青く塗られた不思議な光景が広がっています。ほとんどの建物が青色に統一されている理由は? ――

『ワンピース』に登場する街のモデルになったという説も
三好和義さん インド北部のジョードプルには4年前に2週間滞在し、親交のあるマハーラージャの誕生日会に参加しました。
切り立つ岩山の上に立つメヘラーンガル城から旧市街を眺めると、「ブルーシティ」を実感。その美しさに息をのみました。ジョードプルは一年を通して晴天が多いため「サンシティ」とも呼ばれています。確かに夏はうだるように暑く、太陽が昇っているときは街を歩けないほど(日陰でチャイを飲んで過ごすのが正解)。
その分この街の美しさが際立つのは、真っ赤な夕日が沈む頃。薄暮の赤と青のコントラストが幻想的で、楽園を思わせる美しさに変わります。

なぜ青に塗られているのだろう……と疑問に思って地元の人に聞いてみると、2つの意見がありました。
1/昔、戦争が起きたときにバラモン階級(僧侶など)の家は襲撃してはいけないという決まりがあった。バラモン階級の家を区別するために青く塗っていたが、徐々にそれ以外の階級にも広がっていった。
2/壁を青に塗ると、涼しく感じるから。
……全然違う理由ですね。「区別の青」だったのか、「実用の青」だったのか。本当の理由は地元の人も分からないそうです。これまで地球上の数えきれないほどの街を訪れましたが、見た瞬間に「おおっ」と声が出た美しい街はジョードプルくらい。この街は『ワンピース』に登場する「アラバスタ」という街のモデルになったという説もあるそうです。

アクセス/日本から首都ニューデリーまで直行便で行き約10時間、帰り約7時間30分。ニューデリーからジョードプルまでは飛行機で約1時間10分、電車で約11時間
ある日の航空券をチェック/東京~ジョードプル 往復10万2826円
行き=羽田~香港~ニューデリー~ジョードプル 16時間45分
帰り=ジョードプル~ニューデリー~香港~成田 21時間30分
※編集部調べ
言語/公用語はヒンディー語、補助公用語は英語
ビザ/観光ビザが必要
ベストシーズン/12~2月
真面目にユートピア/インドは約13億人の人口を抱える世界第2位の人口大国であり、アジア第3位の経済大国。国民の約8割はヒンドゥー教徒。ジョードプルはインド北西部のラジャスターン州に位置する。広大なタール砂漠の入り口となる街で、雨期(7~8月)以外はほとんど雨が降らない砂漠気候。ジョードプルの「ブルーシティ」に対し、赤い城壁に囲まれた州都・ジャイプールは「ピンクシティ」と呼ばれている

(取材・文 市川礼子=日経ARIA編集部、写真 三好和義)
[日経ARIA2019年2月18日付の掲載記事を基に再構成]
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