みんな電力、再エネ電源から無線給電 京大と共同研究

2019/4/12 12:16
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新電力のみんな電力(東京・世田谷)は、無線で電力を送受信するサービスの実現に取り組む。こうしたサービスには、多重の送受信に正確に対応でき、かつ、十分なセキュリティーの確保が必須になる。この技術コンセプトの検証に向けた研究開発を開始した。京都大学と共同で取り組む。すでに、関連する特許を共同で出願した。

携帯電話による通信では、携帯端末が移動しても、接続する基地局を切り替えながら通信しつづけられる。こうした移動体が接続先を切り替えていく技術は、無線による電力の送受信でも、中核技術の一つとなる可能性があるとしている。

■EV・ドローン走行中に給電

様々な場所から走行中に充電(出所:みんな電力)

様々な場所から走行中に充電(出所:みんな電力)

例えば、電力の送受信者が携帯機器、電気自動車(EV)、ドローン(小型無人機)など移動するものの場合でも、移動中に電力の送信先や受信元を変えながら、適切に給電を実現できるようになる。

固定価格買い取り制度(FIT)による買い取り期間が終了した太陽光発電所は、自家消費や地域新電力などへの売電が想定されている。加えて、今回の技術が実用化されれば、近くを通過するEVやドローン、携帯機器にも電力を供給でき、新たな売電先が加わる可能性がある。

EVやドローンにとっても、国内の各地に点在している太陽光発電所を充電所として活用できれば、走行や飛行の距離や時間の制約を超えた利用が可能となる。分散型電源が、こうした移動型電動機器の広範な普及に貢献できる。

■暗号化で「混信」防ぐ

みんな電力と共同研究に取り組むのは、京大大学院情報学研究科の梅野健教授である。梅野教授は、多ユーザー間の多重送受信とセキュリティーに関連する「カオスCDMA」と呼ばれる技術に取り組んでいる。

多対多の電力の無線送信を符号で支える(出所:みんな電力)

多対多の電力の無線送信を符号で支える(出所:みんな電力)

同教授の技術を基に、多対多の間で無線によって送受信される電力に符号を乗せる。この符号には、暗号だけでなく 給電元、給電先、給電量、電力の由来、取引価格、電力選択の優先順位付けなどの取引情報を付加する。これによって、無線による給電の取引や決済まで可能となる。

電力に付加した暗号は、指定された給電先だけが復号できるようにすることで、空中を飛び交う多数の電力による「混信」や、セキュリティーの問題を回避できるという。暗号によって、電力の由来を個別に識別することができる。

充電元を変えながら走り、電力の混信も防ぐ(出所:みんな電力)

充電元を変えながら走り、電力の混信も防ぐ(出所:みんな電力)

この技術コンセプトを、みんな電力や梅野教授は、「電力5G」と称している。

無線による電力の送受信は、電動歯ブラシやスマートフォンへの充電で実用化が先行している。

現在は、送電距離を延ばすこと、送電の効率を向上するための技術の開発が盛んになっている。将来的には、給電時に携帯機器を充電パッドに置かなくても、使いながら充電できるようになり、電源コードが不要な機器が実現したり、走行しながらEVが無線給電されたりすることが期待されている。

無線による電力の送受信の応用範囲が広がり、さまざまな給電サービスが実用化されると、多数の電力が空中を飛び交うことになる。

そこでは、電力の「混信」が生じ、ユーザーが自分のスマートフォンを無線で充電するつもりが、隣にいる人が持っている他の携帯機器が充電されてしまうといった状況が生じる恐れがある。

また、無線による電力の送受信システムの弱点を悪用し、電力がハッキングされ、重要な施設や設備が停電するといった状況が生じることを防ぐ必要がある。こうした混線やハッキング対策として、今回の技術が有効な手段となる可能性があるとしている。

みんな電力では、京大との2年間の共同研究の後、プロトタイピングを経て、ライセンス供与、無線給電認証プロトコルのサービス提供、関連技術の研究開発を視野に入れているとしている。

(日経BP総研クリーンテックラボ 加藤伸一)

[日経 xTECH 2019年4月11日掲載]

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