強制不妊救済法案が衆院通過 被害者ら「国が謝罪を」

2019/4/11 13:49
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旧優生保護法(1948~96年)下で障害者らに強制不妊手術が繰り返された問題で、被害者に一時金320万円を支給する救済法案が11日、衆院本会議で可決した。参院での審議を経て、来週にも成立する見通し。被害者らは法成立が近づいたことを評価する一方、前文の内容や救済制度の周知の方法などについて反発する声も上がっている。

法案は与党ワーキングチーム(WT)と野党も入る超党派議連がそれぞれ検討し、与野党の合意を得て議員立法として国会に提出。成立後に速やかに施行され、施行日時点で生存する被害者本人に一時金を支給する。

法案の前文には「我々は、それぞれの立場において、真摯に反省し、心から深くおわびする」と記した。

ただ、被害者側はおわびの主語を「国」とすることを求めており、「我々」が誰を指すのか曖昧だとの批判が上がっている。10日の衆院厚生労働委員会で冨岡勉委員長は「(旧法を)制定した国会や執行した政府を特に念頭に置くもの」と述べた。

各地で起きている国家賠償請求訴訟で司法判断が示されていないため、法案は旧法の違憲性については言及していない。全国被害弁護団の新里宏二・共同代表は「今回の謝罪は裁判に影響のない範囲で考えられたと思われる。司法判断が下った後、改めて政府から誠意ある謝罪をしてほしい」と話した。

厚生労働省によると、過去に約2万5千人が不妊手術を受けたとされるが、氏名など個人が特定できる手術記録は約3千人分しか残っていない。記録がない場合でも家族の証言などをもとに幅広く被害認定をするが、プライバシーを配慮して被害者本人への個別通知はしない方針。

全国で初めて仙台地裁に国賠訴訟を起こした原告で宮城県の60代女性の義姉は「国会や政府が責任を感じて救済法案ができ、問題が国民にも伝わるきっかけになった。ようやくここまできた」と振り返る。

一方、救済制度を被害者本人に個別通知しないことについて「本人や家族が制度を知らなければ救済を受けられない人が出てくる可能性がある」と指摘。「手術記録がある約3千人については通知する義務がある。今後の国の対応を注視したい」と訴えた。

被害弁護団は違憲性を認めた上での謝罪や3千万円前後の損害賠償を求めており、訴訟を継続する構えだ。最初の判決は5月28日に仙台地裁で言い渡される。

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