職場の「陰の支配者」知ってる?(平成のアルバム)
お局様

2019/4/13 6:30
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あゆおさんの漫画「おつぼね!!!」(あさ出版)に登場するお局様は個性豊か

あゆおさんの漫画「おつぼね!!!」(あさ出版)に登場するお局様は個性豊か

女性が長く会社に勤めることが当たり前ではなかった時代、結婚せず働き続ける女性社員に向けられる視線は時にシビアだった。若い女性社員らを仕切り、口出ししないと気が済まないベテラン女性社員は「お局様(おつぼねさま)」と呼ばれた。

「まさに女の親分という感じだった」と話すのは北九州市在住の60代女性。専門学校を卒業後、21歳で大手電機メーカーに事務職で就職。入社初日、ハイヒールを履いていくと、40代の女性社員から「靴のサイズは」と問われ、「22.5センチです」と答えると、「おこちゃまじゃないの!」と因縁を付けられた。

お局様は男性管理職よりも職場を熟知し、頼りがいがある女性だったことも少なくない。商社の財務部長を務めた男性(68)は「お局様は女性を束ねるリーダー。仕事を分かっているので、任せておけば楽だった」と振り返る。

一般職や事務職として採用され、能力があっても重要な役職に就かせてもらえない。お局様の心の中には、そんな不満が渦巻いていたのかもしれない。若手女性社員の側にも「上司でもないのに、なぜ従わなくちゃいけないの」というわだかまりがあった。

1986年に男女雇用機会均等法が施行され、平成が始まった89年に25~29歳で59.6%、30~34歳で51.1%だった女性の就業率は、2016年にはそれぞれ81.7%、73.2%まで上昇した。一般職や事務職といった枠組みを廃止する企業も増え、女性が働く環境は大きく変わった。

今どきの若手女性社員は先輩女性をどう見ているのか。大手電気機器メーカーに勤める横浜市の女性(24)は40代の先輩女性を「厳しい人だが、一番教えてもらっている。仕事の姿勢は目標にしている」と語る。

かつてお局様に苦しめられてきた世代も年を重ね、いまや「自分がお局なのでは」とびくびくしながら後輩に接している。そんな現代のお局像を題材にしたのが2016年に出版された「あゆお」さん(41)の漫画「おつぼね!!!」。

主人公は勤続13年目で独身の女性会社員、蒼井都季(35)。若い後輩の言動が気になるものの、お局にはなりたくないと見て見ぬふり。「ジェネレーションギャップで会話が続かない」「若い女の子に異様に謝られる」。複雑な気持ちを抱えつつも見過ごせない若手の言動もある。「新人のたまに出るタメ口に舌打ち」「他人の定時退社に何か言わずにはいられない」。悲しいかな、お局マインドは今も引き継がれているのかもしれない。

お局様 日本国語大辞典(小学館)によると、宮中の仕切りで隔てた部屋「局」を与えられていた女官のこと。江戸時代、大奥で局を与えられていた奥女中、また、女性を取り締まっていた老女の敬称でもある。平成が始まった1989年に放映されたNHK大河ドラマ「春日局」で、大原麗子さん演じる徳川家光の乳母、春日局が当時のOL(オフィスレディー)の間で口うるさい先輩女性社員と結びつき、定着したといわれる。
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