2019年6月18日(火)

「地球サイズ」の望遠鏡、ITの進展で可能に

科学&新技術
2019/4/10 22:12
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ブラックホールの姿を捉えられたのは、地球サイズの電波望遠鏡を仮想的に作り出したからだ。通信やデータ処理といったIT(情報技術)の進展に加え、1億年で1秒もずれない正確な時計などの技術が統合されている。こうした技術は産業にも応用できる。

観測したおとめ座のM87銀河の中心にある巨大ブラックホールは地球から約5500万光年も離れている。その姿を捉えるには、人間の約300万倍の視力が必要だ。実現するために、ハワイで最も高い山から南極の極寒の地まで、世界8カ所の天文台で同時に観測した。

5日間の観測で得たデータは1ペタ(ペタはギガの約100万倍)バイトを超し、高性能パソコン約1千台分のデータ量に達した。データをスーパーコンピューターで処理することで信号を増幅し、直径1万キロメートル近いアンテナを持つ巨大な電波望遠鏡に匹敵する解像度を生んだ。

正確に測定するためには、それぞれの電波望遠鏡を厳密に同調させる必要がある。観測データには、原子時計で正確な時間が記録された。

大量のデータといってもブラックホールの撮影に必要なものを抜き出すと情報量は多くはない。限られた情報から重要な特徴を見つける「スパースモデリング」と呼ぶ手法を駆使したことも大きく、高性能な人工知能(AI)や、より緻密な品質検査などの実現に役立つと見込まれる。

ブラックホールの観測には「ミリ波」と呼ばれる電波を狙った。この電波は宇宙にあるガスやちりに邪魔されず、地球に届く。観測の邪魔になる雑音を取り除く技術は遠距離の通信にも応用されそうだ。

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