2019年8月23日(金)

ブラックホール捉えた 100年越しの「存在証明」

2019/4/10 22:12 (2019/4/11 7:33更新)
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アインシュタインの一般相対性理論に基づいて存在が予言されてから約100年、ブラックホールの姿がついに捉えられた。太陽のような恒星が何千億個も集まった銀河がどのようにできたかなどの解明につながる。一般相対性理論を超える新たな理論の発展へ突破口を開く期待もある。

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国際チームの画像は、あらゆる物質や光がブラックホールに吸い込まれて出てこられなくなる境界線「事象の地平面(イベント・ホライズン)」を捉えた。境界線がつくりだす黒い影が映り、一般相対性理論で予言されたブラックホールの実在が証明された。

2015年に初観測された重力波はブラックホールの合体で発生したが、直接の映像はない。ブラックホールに詳しい大須賀健筑波大教授は今回の成果を「はじめての直接証拠と言っていい」と話す。

撮影されたブラックホールはおとめ座の「M87」という銀河の中心にあり、太陽の65億倍もの巨大な質量を持つ。国際チームは太陽が含まれる天の川銀河(銀河系)の中心にある巨大ブラックホール「いて座Aスター」も観測し、データの解析を進めている。ブラックホール自体はM87より小さいが、距離は格段に近いため、より鮮明な画像が得られる可能性がある。

天の川銀河をはじめ、多くの銀河でも中心に同様の巨大ブラックホールが存在。巨大ブラックホールと銀河の形成の間に関係があることは間違いない、と考えられている。巨大ブラックホールとその周りで起きている現象を調べれば、どのように銀河が生まれ成長してきたかなどがわかると考えられ、研究者の期待は大きい。

さらにブラックホールの観測は、相対性理論をはじめ現在の物理学の限界を超える新たな理論への突破口にもなる。

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重力を説明する一般相対性理論は、これまでいくつかの天体現象などから正しさが確かめられてきた。1919年の皆既日食で太陽の裏に隠れた星の光が重力で曲がり、見えないはずの星が観測できた例は有名だ。

しかしブラックホールの境界線に近い場所の重力は、太陽などに比べて桁外れに大きい。重力が極限まで強くなった特別な場所でも相対性理論が成り立つのか、それとも観測と理論にズレが生じるのか。これを確かめられれば、次世代の物理理論が進むべき方向を判断する足がかりになる。

将来的には電波望遠鏡やエックス線による観測技術の進歩でさらに詳細な観測ができると期待される。今回の映像はその記念すべき第一歩だ。(編集委員 小玉祥司)

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