2019年5月24日(金)

イチゴ収穫 座ったままで、障害者や高齢者就農促す
JAさが 佐賀・みやき町

サービス・食品
九州・沖縄
2019/4/11 6:30
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イチゴの収穫、座ったままできます――。JAさがグループと佐賀県みやき町、農業プラント設計のヤンマーグリーンシステム(大阪市、森山弘寿社長)が協定を結び、高齢者や車椅子の人も楽にイチゴの収穫ができる栽培システムの実証実験を始める。栽培用のプランターを台座ごとベルトコンベヤーで循環させるため、動き回らず定位置で作業ができる。省力化を進め、高齢者や女性、障がい者の就農を支援する。

導入されるイチゴの自動栽培システム。プランターが手前の作業スペースに移動してくる

導入されるイチゴの自動栽培システム。プランターが手前の作業スペースに移動してくる

システムは、ヤンマーグリーンシステムが約7年かけて開発した。約500平方メートルのビニールハウスの場合、横5メートルほどのプランター台が左右に各68個並び、ゆっくり循環。途中、水や薬液の散布を完全自動で行う。農薬が入った溶液の散布は作業スペースの反対側で行うため、人体への影響も軽減される。

台の高さは80センチメートルほどだが、変更可能。低く設定すれば、椅子や車椅子に座った状態でも収穫が可能だ。腰を折り曲げたり、ひねる動きが大幅に減る。プランターとプランターの間隔を詰めることができるため、従来の1.5倍前後の収量が実現可能という。

課題はコスト面で500平方メートル規模の場合、現状、システムだけで約1000万円かかる。イチゴ栽培用にシステム開発したのは、付加価値の高い作物でなければ採算が合わないためだ。

今回の実験は、JAさがグループがみやき町の遊休地を買い取り、既存のビニールハウスを改修して2000平方メートル規模で行う。「さがほのか」の苗を育て9月に定植、11月から収穫する。

コストダウンが進めば、一般農家への普及をはかる。みやき町は今後、独自に施設を造り、どのイチゴが収穫に適しているかを人工知能(AI)で判別するシステムの導入や、端境期に収穫する「夏イチゴ」の栽培も検討しているという。 九州はイチゴの主要産地。都道府県別の産出額(2017年の農林水産統計)は福岡県が栃木県に次ぐ2位で、熊本県が4位、長崎県が5位と、上位5県のうち3県を九州が占め、これに佐賀県などが続く。品種別の1キログラム当たりの販売単価では福岡の「あまおう」がトップで高級ブランドとして定着している。

ただイチゴ農家は減少傾向にある。JAによると、佐賀県いちご部会の会員数は2018年が757人で20年前から半減。栽培面積も半分の145ヘクタールに減った。

こうした状況を受け、佐賀県はJAなどと協力して新規就農者を支援する「トレーニングファーム」を設置。3月には白石町にイチゴのトレーニングファームがオープンし、4組5人が2年間、栽培技術や経営を学ぶ。キュウリ、ホウレンソウ、トマトに続く4つ目の就農拠点だ。

園芸作物は新規就農者にとって比較的参入しやすい分野。佐賀県は今年度から園芸農業産出額を10年で約259億円引き上げ、888億円にする事業を始めた。11億3445万円の予算を組み、同時にロボットや人工知能(AI)を活用したスマート化事業も進める。生産性の向上と人手不足の解消をはかり、障がい者が農業に従事する「農福連携」にもつなげたい考えだ。(中越博栄)

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