2019年5月23日(木)

合従連衡が生き残るカギ ビジネス丸ごと変革促す5G

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モバイル・5G
2019/4/10 19:29
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次世代の高速通信規格「5G」の時代に企業が生き残るには積極的な合従連衡がカギになる。通信速度が4Gの最大100倍になるなど、精緻な反応が必要な産業用途でも使えるインフラが整備されれば、業界の垣根を越えた競争が激しくなる。産業基盤そのものが変わるなかで、新たな価値を生み出すデータを求めて陣営づくりが進みそうだ。

「5Gは21世紀の基幹インフラになる。これまでの新幹線網や高速道路網に匹敵する」。NTTドコモKDDIなど通信4社に5Gの電波を割り当てた石田真敏総務相は10日、こう話した。ドコモなどは2019年に試験サービスを始め、20年に商用化する。

投資で先行するのはドコモとKDDI。ソフトバンクの宮川潤一副社長は同日「新しい電波でエリアを広げるより、既存の電波を5Gに転換したほうがコストとスピード面で有利」と話した。21年頃にはカバー率9割超を目指す。楽天の三木谷浩史会長兼社長は「計画の数字よりは上げていきたい」と語った。

通信会社だけでなく、5Gに乗り遅れまいと様々な企業が動きだす。異業種による陣営づくりが目立つ。無人建機の開発がその一つ。大林組NEC、KDDIは18年12月、2台の建機を遠隔操作で連携させる試験を実施した。同様の開発で大成建設はソフトバンクと組んでいる。

IT(情報技術)で利便性の高い移動手段を提供するサービス「MaaS(マース)」。トヨタ自動車とソフトバンクの共同出資会社のプロジェクトには小売りや飲食、交通などから80を超える企業が参画する。各社が移動手段とサービスの連携に取り組む。

企業が集まり始めた理由の一つは5Gインフラの性能が高いことにある。少しの通信のずれで製品やサービスの品質が左右される産業用途でも、十分耐えうる速度性能がある。さらに、これまでの通信スピードの発展だけでなく5Gは遅延が少ない機能もある。1平方キロメートルあたりに同時接続できる機器が4Gの10倍の100万台となることも利点だ。

企業同士の協力が進む別の理由はデータが集まるとみているためだ。協業先企業のデータも使えれば、開発する新サービスの幅を広げられる。それぞれの分野で誰が勝ち組になるのか見えにくくなることが企業を連携に走らせている面もある。

こうした企業側の事情を象徴するような風景が、3月に東京都内で開かれたドコモのイベントだ。パナソニック凸版印刷日鉄ソリューションズ、NEC、ソニー、フジテレビ。自社のサービスを披露する企業や、協力を進められないかなどと情報を集める企業から400人が集まった。

ドコモは5Gで協業する企業・自治体を募っておりその数は2300になった。「協業プログラムに参画する企業同士がビジネスを検討するなど連携の動きが出てきている」と担当者は話す。

通信会社にも連携を急ぎたい背景がある。4Gまでのようなスマートフォンに頼った事業運営は難しくなるため、新しい収益の柱が必要だ。

大量のデータを瞬時に送ることができる5Gは企業自身のデジタル化を加速することはもちろん企業間の連携を促す。いかに早く動けるかが当面のビジネスの行方を左右する大きな要因となる。

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