KOBE もてなし力培う 国際会議件数全国2位に浮上(もっと関西)
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関西タイムライン
2019/4/11 11:30
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日本政府観光局(JNTO)が2018年11月に公表した17年開催の国際会議開催件数で、神戸市が405件と東京に次ぐ全国2位となった。14年の9位から15年の8位、16年4位と順位を上げてきた。どんな取り組みが奏功したのか。

神戸での開催件数は14年が82件、15年の113件にとどまっていた。「もっとやっているはず。市内を走り回って調査したんです」。市の外郭団体、神戸観光局の黒田美香・MICE誘致部長(56)は直近の仕事を振り返る。

16年、前身となる団体にMICE誘致部が発足、英語ができる外国人の登用など体制が手厚くなった。会議の開催場所となるホテルから中小の催事場まで情報収集に力を入れた。その結果、カウントされていなかった国際会議があることが分かってきた。

16年の件数は260件に増えた。会議の主催者になる可能性がある理化学研究所などの研究者や大学の教授への誘致も強化。17年はさらに上乗せできた。

市が神戸ポートアイランド博覧会があった1981年、コンベンション施設を整備した。82年に全国に先駆けてコンベンション都市を宣言。80年代には旧基準で国際会議の件数が全国2位に。ただ、95年の阪神大震災や他都市の競合が増え、順位を落としていた。

「(大学教授とは)ケンカして怒られて。昔は泣いたこともあった」。国際会議などの誘致の仕事に30年間、携わってきた黒田さんは述懐する。会議の開催地は通常、有力な教授などが候補地をプレゼンし、会員らの投票で決める。4年に1度の会議の場合、10年先をにらんでの活動になる。

誘致の担当者は神戸の強みをPRし、説得力のあるストーリーに仕上げる。例えば、防災・減災がテーマなら阪神大震災の教訓は必須。生命科学なら次世代医療の研究開発や実用化を進める「神戸医療産業都市」の先進性を盛り込むと共感を得やすい。17年の医療関連の国際会議は183件と全体の半数近くを占める。

大学教授らが皆が協力的なわけではない。医療系の教員の場合、本来の業務は患者を診て学生を指導し、研究成果を出すこと。「国際会議の誘致は二の次」との考えになりがちだ。「何年も携わって、ようやく訪れる誘致成功の瞬間。最後には(教授に)『ありがとう』と感謝していただいて、しんどいことは全部忘れられる」(黒田さん)

多様な誘致策への評価も高い。例えば、会議の運営側への最大500万円の補助だ。81年の博覧会の余剰金を原資にした基金が財源となっている。基金の設立に携わった新野幸次郎神戸大学名誉教授(93)は「他都市は税金が多いが神戸市は基金を活用。数年に一度の国際学会の誘致では資金援助を確約できるのが強みになる」とみる。

神戸観光局が中心となり生産量日本一を誇る兵庫県の酒造どころ「灘五郷」の日本酒を鏡開き用に用意するほか、パーティーでは神戸ワインや神戸スイーツなど地元らしさをPR。神社の見学ツアーなども企画して神戸を満喫してもらう。記念バッグの提供もある。

中核施設の神戸コンベンションセンターには年間280万人の来客がある。開業当初は全国初とされた国際会議場と国際展示場、ホテルの3点が徒歩圏内に一体となった設計が魅力だ。

コンベンション開催に特化したホールを持つ神戸ポートピアホテル。中内仁社長は「行き来しやすい利便性の高さが選ばれる理由」という。17年の国際会議開催のホテル部門の件数で全国1位に輝いた。神戸空港から神戸新交通「ポートライナー」で約10分、新幹線のJR新神戸駅からは約20分で交通の便も恵まれる。

国際会議の開催地として「KOBE」のコールが生まれ続ける背景には、教授らとの密な関係を築いてきた運営力と国際都市・神戸ならではの「もてなし力」があるようだ。

(神戸支社 沖永翔也)

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