国際交渉、カードゲームで体験 国連で外交官競う
【ニューヨーク=大島有美子】国際交渉をカードゲームで体験できるイベントが9日、国連の日本代表部で開かれた。貧困や気候変動など地球社会の課題解決を目指す「持続可能な開発目標」(SDGs)における交渉で、カナダなど8カ国・地域の外交官ら約20人が参加した。国際交渉のプロも、プロジェクトに必要なお金や時間集めに頭を悩ませていた。

「お金とあなたのプロジェクト、交換しませんか」。開始直後から外交官らが席を立ってテーブルの間を歩き始めた。ゲームは2人1組で競い合う。各チームには「富」や「悠々自適な生活」など最終目標が設けられる。達成に必要なお金や時間、経験値を「交通インフラの整備」といったプロジェクトをこなして対価として集める。
目標達成のためチーム同士の「交渉」も認められている。資金を融通してプロジェクトを仕上げたり、時間と経験値を交換したり――。互いの手駒と目的をてんびんにかける時間が続く。各チームが完遂したプロジェクトに応じて、経済発展や環境に優しい社会など、世界の状況が刻々と変化する。20分もたつと戦況が見えてくる。
カードゲームはイマココラボ(東京・千代田)の「2030 SDGs」。5万人が参加し、昨年から海外でも積極的にゲームの体験イベントを開催している。金融機関や非政府組織(NGO)など参加者の属性によって、世界は全く異なった状況になるという。