2019年5月24日(金)

英離脱、最大1年の延長案 EU大統領が書簡 仏は慎重

英EU離脱
ヨーロッパ
2019/4/10 3:27 (2019/4/10 4:51更新)
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【ブリュッセル=竹内康雄、白石透冴】欧州連合(EU)のトゥスク大統領は9日、英国のEU離脱を1年を超えない範囲で長期再延期する案を加盟国に示した。「合意なき離脱」の回避を優先した。フランスのマクロン大統領は、再延期の場合に、離脱に向けた明確な道筋を求めるとしている。メイ英首相は与野党協議で合意できないまま、10日に開くEU臨時首脳会議に参加する。会議で加盟国が一致した結論を出せるかは不透明だ。

メイ英首相は4月12日となっている離脱の期限を6月30日まで延ばすよう要請していた。トゥスク氏は公表した書簡で理解を示したが、「英下院の深い分裂を考えれば、6月末までに離脱協定案が承認されると我々が信じる理由は乏しい」と表明した。

トゥスク氏は長期延期なら合意なき離脱のリスクを下げ、繰り返し臨時首脳会議を開く負担を減らせるとみている。英側も議会が離脱案を批准した時点で離脱できる。

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ロイター通信によると、EU側は英国が5月下旬の欧州議会選に参加することなどを条件に離脱期限の再延期を認めることを検討している。英国側が条件を守れなかった場合、6月1日に英国を離脱させることなどを盛り込む可能性があるという。

ドイツのメルケル首相も9日、離脱を2019年末か20年初めまで再延期することは可能との考えを示した。独DPA通信が与党関係者の話として伝えた。メイ英首相と同日1時間半程度会談した後、与党の会合で発言したという。メルケル氏は合意なき離脱はできる限り回避したいと繰り返し表明してきた。

一方、メイ氏は9日夕、マクロン仏大統領ともパリで会談した。欧州では5月23日から欧州議会選が行われ、英国が離脱していない場合に議会選への参加を迫られる公算が大きい。メイ氏は議会選に参加する事態を避けるために、与野党協議などで英国内の合意形成に全力を上げているとマクロン氏に説明した。6月30日までの短期延期への理解を求めた。

仏大統領府高官は9日、「はっきりした道筋が示され、EUに害を与えることがなければ、再延期は可能だ」などと語った。トゥスク氏が示した最大1年延期との案は「長すぎる」と意見した。

メイ英首相(左)を迎えるフランスのマクロン大統領(9日、フランス・パリ)

メイ英首相(左)を迎えるフランスのマクロン大統領(9日、フランス・パリ)

同高官はもし再延期が決まった場合でも「英国は欧州委員長の選出や予算案の策定には関わるべきではない」と中長期の決定事項から英国を除くべきだと語った。

英与野党、EU首脳会議前の合意を断念

【ロンドン=中島裕介】膠着する英国の欧州連合(EU)離脱を巡り、与野党協議を続けているメイ政権と最大野党・労働党は、10日のEU首脳会議前の合意を断念した。与野党は9日も協議を続けたものの結論には至らなかった。双方はEU首脳会議後の11日に協議を再開することを申し合わせた。

欧州では5月23日から欧州議会選が行われ、英国が離脱していない場合、議会選の参加を迫られる公算が大きい。英首相官邸の報道官は9日、「与野党は議会選の参加を回避するため、懸命に離脱条件の合意に向けた作業を進めている」とコメントした。

メイ政権はEUと合意した離脱案に反発する与党内の強硬離脱派の説得をいったん断念し、野党との連携で議会の過半数の支持を得る戦術に切り替えた。ただ3日から始まった与野党協議では「関税同盟への恒久的な残留」や「2度目の国民投票」を求める労働党の提案に、与党の多方面から批判が噴出。メイ首相が思いきった譲歩に踏み出せず、協議の膠着が続いている。

10日の首脳会議では英の離脱の再延期を議論する。メイ首相は当初、労働党との妥結案を携えて首脳会議に出席し、6月30日までの離脱延期を求める方針だった。与野党協議の出口も見えないまま延期を求めるメイ首相に、EU各国の批判は高まりそうだ。

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