逮捕予想し異例の肉声動画 ゴーン元会長「陰謀」訴え

2019/4/10 1:30
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日産自動車元会長、カルロス・ゴーン容疑者(65)の弁護団は9日、ゴーン元会長が自ら主張や見解を語る動画を公開した。4度目の逮捕を予想して事前に撮影していた。元会長は改めて身の潔白を主張し、一連の事件は「陰謀」だとして日産の現経営陣を批判。踏み込んだ発言は避けつつも、自分は陥れられた犠牲者であるとのメッセージを発信した。

再逮捕前に録画したゴーン元会長の声明動画=弁護団提供

「かけられている全ての嫌疑について私は無実だ」。約7分半の動画の冒頭、ゴーン元会長は改めてこう訴えた。しかし、個別の事件について具体的な主張や根拠に踏み込むことはなかった。

弁護人の弘中惇一郎弁護士はこの日の記者会見で「検察官から主張、証拠がほとんど出されていない段階で、被告が想像で発言するのは不適当だ」と説明した。検察側に手の内を明かし、対抗策を打たれることも懸念したとみられる。

動画は4度目の逮捕の前日に撮られたもので、オマーンルートの逮捕容疑への言及はなかった。

「今回の汚いたくらみを実現させるべく仕掛けた多くの名前を挙げることができる」。ゴーン元会長は一連の事件について、仏ルノーとの統合が進み、日産の独立性が脅かされることを恐れた日産幹部による「陰謀」であると重ねて強調した。

弘中弁護士によると、編集前の動画では自分を陥れた人物の実名を列挙していたが、法的リスクがあるとの弁護団の判断でカットしたという。

ゴーン元会長はさらに、2018年の検査不正や近年の業績低迷を踏まえて現経営陣を「ビジョンがない」と批判し、自らの実績やリーダーシップをアピール。「最も強く望むものは公正な裁判を受けること」と締めくくった。

ゴーン元会長は3月6日の保釈後、記者会見で主張を述べる意向だった。4月3日にはツイッターで11日に記者会見を開くと予告したが、翌4日にオマーンルートの特別背任容疑で逮捕された。

ルノーでもオマーンルートの不正疑惑が浮上し、8日には日産の臨時取締役会で取締役からも解任されるなど、ゴーン元会長を取り巻く状況は厳しさを増している。一連の事件では一貫して無罪を主張しているが、公判の日程は見えていない。

逮捕・勾留中の容疑者の動画を公開するという異例の手段の背景には、陰謀の犠牲者であると自ら肉声で国内外に訴えることによって、不正のイメージが拡大、定着するのを食い止める狙いがあるとみられる。

日産の広報担当者は動画について「特にコメントはない」としている。

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