/

IHI、検査不正で改善命令 航空部品自主回収へ

IHIは9日、航空機エンジン整備で不正検査があったことを巡り国土交通省から業務改善命令を受けた。5月10日に再発防止策を報告し、エンジン部品の一部を自主回収する。航空・宇宙・防衛事業は営業利益の半分以上を稼ぎ出す屋台骨。世界的な航空部品のサプライチェーンへの影響も懸念されるため、生産体制の見直しが急務だ。

満岡次郎社長は9日、東京航空局を訪れ「全社一丸となり改善に取り組む」と陳謝した。再発防止策をまとめた上で、停止しているエンジン整備の瑞穂工場(東京都瑞穂町)の早期再開を目指す。国交省は安全性に影響はないとしたが、不正が確認された部品の自主回収を命じた。

検査不正はIHIだけの問題にとどまらない。同社が民間航空機エンジン向けに手がけるタービンやシャフトなどは心臓部とも言える中核部品だからだ。

エンジンそのものは米プラット・アンド・ホイットニー(P&W)とゼネラル・エレクトリック(GE)、英ロールス・ロイスの3大メーカーが市場を握っているが、IHIは基幹部品を供給しており、米ボーイングや欧州エアバスの航空機に納入している。

問題が長期化すれば世界の航空機のサプライチェーンに影響する可能性がある。整備事業でも全日本空輸や日本航空など国内大手から部品の修理・交換を受託しており、エアラインの運航にも影響を及ぼしかねない。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の山崎みえアナリストは「代替は難しい。いかに早期に問題を収束できるかがカギになる」と話す。

IHIは事業戦略においては選択と集中を進めている。建設機械や業務用原動機事業を売却し、造船やプラントの愛知工場(愛知県知多市)を閉鎖するなど航空機エンジン事業を中核とする事業構造へ転換している。その推進役である満岡社長は航空の生産畑出身。自分の出身事業で不正を見逃した責任は大きい。

今回見つかった検査不正はエンジン整備と部品を合わせて約1万4千件。訓練の一環などで社内資格を持たない従業員が確認印を押すといった工程が常態化していた。国交省は検査日の改ざんなどもあったと指摘。事業拡大に応じて検査員が増員されず、納期が優先されていたとみている。

発端は法務部門への内部通報だったが、国交省の立ち入りまで社内では実態がつかめなかった。IHIは04年にもエンジン整備のデータ改ざんで国交省から業務改善勧告を受けており、コーポレートガバナンスがうまく機能していない体質は改善されていなかった。

航空業界をめぐっては米ボーイングの737MAXが2度の墜落事故を起こし、安全性への関心が世界的に高まっている。18年には英ロールス・ロイスのエンジントラブルがエアラインの大量欠航を招いた問題も発生した。世界的にも航空業界で品質問題を巡る目が厳しくなるなかで、IHIが信頼を回復する道は平たんではない。

すべての記事が読み放題
有料会員が初回1カ月無料

関連企業・業界

セレクション

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
新規会員登録 (無料)ログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン