2019年9月20日(金)

遊び心が育む包む技術 カネパッケージ(埼の強み)

2019/4/9 22:00
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猫の遊び小屋やかぶと、高さ8メートルのスカイツリー。梱包資材メーカーのカネパッケージ(埼玉県入間市)の本社に入ると、段ボールなどの梱包資材でできた作品が出迎えてくれる。社員が仕事の合間に制作。遊び心とものづくりへの好奇心が、多様な製品を衝撃から守る梱包技術を育てる。

社員らが遊び心で設計した段ボールのスカイツリー。

カネパッケージが主に扱うのは、医療機器やデジタルカメラなどの精密機器。月周回衛星「かぐや」に搭載した分析器のような特殊な製品もある。運搬時の少しの揺れでも影響を受けやすい繊細なものが多い。負担がかからないよう緩衝材を設計する。梱包は一品一様。商品の素材や形状だけでなく、船やトラックといった輸送方法にも合わせて構造計算する。

そんな同社だが、実は国内に自社工場を持たず、梱包資材は協力工場で製造している。生産設備に左右されないからこそ、段ボールや発泡スチロール、プラスチックといった素材の特性を見極め、適材適所に使えるという。大半の大手梱包メーカーが素材を自社で製造、自社素材だけで梱包を考えるのと異なる。

従来より小さい梱包で多くの商品を詰められるように工夫する。物流効率やコスト削減につながる設計を提案できるのも同社の強みだ。梱包資材は「ゴミ」のイメージが強い。効率がいい設計で、環境負荷を低減する狙いもある。

設計室の隣の試験室では日々、落下や圧縮設備での実験を繰り返している。梱包した商品は、日本とは環境が大きく異なる海外に輸送されることも多い。行き先に応じて気温や湿度を設定した設備の中に梱包材を保管し、それでも強度が保てるかも試している。

「梱包は机上だけではできない。設計、試作、試験。実験の繰り返しで身につけていく。難しい案件も多いぶん、実験はワクワクする」(金坂良一社長)。段ボール製のスカイツリーやアニメ「機動戦士ガンダム」に登場するロボットなどの作品も、そんな案件に対応する力となっている。

スカイツリーのように背が高い作品は、デザインを再現しつつ、倒れない強度を保つ構造計算が必要だ。取引先からの依頼ではなく社員が自由に取り組んでいるが「どれも会社の成長につながっている。遊び心を大切にしたい」と金坂社長。「実験やものづくりへのワクワク感が、自然と技術を伸ばしてくれている」

(さいたま支局 藤田このり)

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