新紙幣に埼玉出身の渋沢栄一 県内から喜びの声
新たな1万円札の図柄に渋沢栄一が採用されることが決まった9日、出身地の埼玉県内では歓迎や喜びの声が相次いだ。生誕の地で渋沢の生涯を紹介する記念館がある深谷市の小島進市長は「採用を契機に、渋沢の功績を知ってもらえるよう様々な活動に取り組む」と意気込みを示した。

埼玉県の上田清司知事は9日の記者会見で「県民として大変うれしい」と喜んだ。県は渋沢の功績にあやかり、優れた企業活動と社会貢献を両立する経営者に毎年「渋沢栄一賞」を贈呈している。上田氏は「日本経済の父が渋沢栄一というのは絶対的な評価。1万円札に最もふさわしい方が選ばれた」と述べた。
渋沢が顧問を務めた旧黒須銀行をルーツの1つに持つ埼玉りそな銀行は9日、りそなグループの新入社員向けに、日本初の近代的な銀行を設立した渋沢の活躍を学ぶ研修を実施。担当者は渋沢について「世の中に必要な事業にはリスクを取って資金を供給する、銀行員のあるべき姿を示した人物だ」と紹介した。
同行の池田一義社長も同日「渋沢侯は道徳経済合一を信条にしており、持続可能な社会を目指すこれからの時代に適した紙幣になるだろう」とのコメントを発表した。
渋沢は秩父地域のセメント産業の振興にも大きく寄与した。渋沢の資金援助で発展した秩父鉄道の担当者は「援助無しでは熊谷から秩父まで線路を引けなかった。新紙幣への採用は非常にうれしい」。同社は今年秋の創立120周年に向け社の歴史に関する講演会を開く予定。「渋沢との関係について多くの人に知ってもらいたい」と話す。