被災教訓、高まる防災意識 大分・耶馬渓山崩れ1年

九州・沖縄
社会・くらし
2019/4/9 9:57
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6人が犠牲になった大分県中津市耶馬渓町の山崩れから4月で1年。命からがら逃げ延びた住民は、恐怖や悲しみを抱えながらも生活再建に向けて心を奮い立たせている。災害を教訓に、市民の防災意識も高まりつつある。市と住民が一体となってハザードマップを整備したほか、地域の実情に合った避難方法を住民らが自主的に検討する動きも出始めた。

発生から約1年が経過した山崩れの現場(3日、大分県中津市耶馬渓町)=共同

発生から約1年が経過した山崩れの現場(3日、大分県中津市耶馬渓町)=共同

「あの音は一生消えん」。農業、飛瀬幹子さん(71)は、不気味なごう音をとどろかせて土砂が押し寄せる自宅から娘と孫の3人で着の身着のまま飛び出した。夫は仕事中で難を逃れた。

自宅は土砂に埋もれて倒壊した。今は現場から数キロ離れた借家に家族4人で暮らしている。「帰る所はなくなった。でも、前向いて頑張っていかんと」と、シイタケ栽培に精を出す。

山崩れは昨年4月11日未明に発生。住宅4棟が土砂にのみ込まれ、妊婦を含む男女6人が亡くなった。現場は土砂災害警戒区域だったが、ハザードマップはなかった。

中津市は事故後速やかに、地区ごとに住民から避難経路上の危険な場所を聞き取り、該当する全1012カ所のマップを完成させた。昨年11月には市人口の4割近い約3万人を対象にした一斉防災訓練も初めて実施。地震や津波を想定し、実際に避難所へ移動する大規模訓練も計画している。

現場近くに住む江渕稔さん(66)は「耶馬渓だけでなく、山間地は災害に弱い」ことを実感したという。避難所の小学校まで約7キロあるため、集落の住民同士で高齢者や車を運転できない人をどう救助するか話し合いを進めている。

県は山崩れの原因を地下水による岩盤の粘土化と結論付けたが、直前の降雨はほぼなかった。国土交通省の研究会は雨が降らなくても崩落が起きやすい地形や地質を調べ、2020年3月までに危険な斜面を見分ける方法の確立を目指す。

〔共同〕

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