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維新、勝因は「1人区」 大阪府議選8割当選

出口調査、自民支持層の半数取り込む

7日に投開票された大阪府知事・市長のダブル選は、「大阪都構想」を掲げる大阪維新の会の圧勝で幕を閉じた。有権者の出口調査によると、「反維新」の候補を推した自民党の支持者らの約半数が維新に投票。首長選と同時に行われた議会選のうち府議選は過半数を獲得し、31ある1人区の8割で勝利した。対抗勢力が組織票を固めきれない間に幅広く支持を浸透させ、躍進につながったとみられる。

大阪市役所に初登庁し、記者会見する松井一郎市長(8日午後)
大阪府庁に初登庁し、記者会見する吉村洋文知事(8日午後)

維新代表の松井一郎市長と吉村洋文知事はダブル選から一夜明けた8日、それぞれ初登庁。松井氏は都構想について「他会派を巻き込んだ議論をする必要がある。数では進めない」と反対派に配慮する姿勢を見せる一方、「民意を尊重するかは相手次第だ」とくぎを刺すのを忘れなかった。

維新は府議会(定数88)で改選前の40から51に議席を増やして過半数を握り、31ある1人区のうち26区で自民候補らを退けた。市議会(定数83)は過半数に及ばなかったものの、改選前から7議席増。市議選で維新候補者の得票数は全体の47%となり、維新幹部も「正直言ってここまで圧勝するとは思っていなかった」と驚きを隠さない。

背景には支持基盤の維新以外の政党を支持する人から幅広い支持を得たことがある。日本経済新聞などが7日の投票日に実施した出口調査によると、自民支持層の5割程度は知事選、市長選ともに吉村、松井の両氏にそれぞれ投票したと回答。都構想の是非を問う住民投票を巡って対立が決定的となった公明党の支持層も2割程度は維新を支持した。

反維新候補の出馬表明の出遅れや「野合批判」の受け皿となった面もあるが、維新は都構想に消極的な有権者にも配慮し、選挙戦で行政の実績を繰り返し訴える戦略をとった。浪速区の主婦(68)は2025年に大阪で開く国際博覧会(大阪・関西万博)の誘致成功などを引き合いに「ここで中途半端に立ち止まっては困る」と激励する。

新たな民意を得て、維新主導の府市政は今後4年間続くことになった。維新創設者の橋下徹元市長は8日、民放番組で「橋下嫌いの人を松井さん、吉村さんのキャラクターで包み込んで支持を拡大した」と評価し、「住民投票は勝つまでやっていい」と話した。

「万博やIR、期待感強く」りそな総合研究所の荒木秀之主席研究員の話

大阪府市の連携が誘致成功につながった2025年国際博覧会(大阪・関西万博)など大阪の経済に明るい兆しが見えてきた。有権者は成長の空気を後戻りさせたくなかったのだろう。

勝利のキーワードは「期待感」。万博やカジノを含む統合型リゾート(IR)が成功すれば、東京を上回る都市になれるとの期待感が高まって得票につながった。対立候補は維新以上に暮らしが豊かになる期待を与えられず、敗北につながったと分析できる。

今後も維新が府市連携効果をアピールできるかは懸念もある。維新が掲げるインバウンド(訪日外国人)の増加は近年、日本全体で上げ調子だったが、今後は航空便やホテル数の制約などで鈍るだろう。観光客の回遊策などに府市一体で取り組み、全国平均以上の伸び率を見せなければ、府市一体の成果とはいえなくなる。

「大阪に利益、印象づけた」関西学院大の善教将大准教授(政治学)の話

維新人気は創立者の橋下徹氏の強い発信力による大衆扇動(ポピュリズム)型だとの見方は多い。しかし、今回の統一地方選は橋下氏不在でも維新が大阪で根強い人気を誇ることを証明した。

最大の強みは、維新が大阪府市の利害を調整してくれる代表者と見られるようになったことだ。府市の費用分担などが必要な大規模プロジェクトは「二重行政」がたびたび問題視されてきた。維新は両首長ポストを得ることで府市間の調整を図り、市域を越えた「大阪」に利益をもたらす存在として印象づけることに成功した。

自民党などが推薦した2候補は「府市の課題は話し合いで解決できる」と主張したが、具体的にどう調整するかについて説得力のある説明が乏しかった。都構想に反対するだけではダメだったという結果を重く受け止めるべきだ。

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統一地方選

4年に一度の統一地方選が行われる。今年は統一地方選と夏の参院選が12年に一度重なる「亥(い)年選挙」。与野党対決となる北海道知事選などがあり、夏の参院選と合わせて結果が注目される。

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