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海外減速、景気に影 日銀、4月の地域報告に明記

日銀支店長会議に臨む黒田総裁(中)(8日午前、日銀本店)

中国など海外の景気減速の影響が地方経済にも表れてきた。日銀は8日発表した4月の地域経済報告(さくらリポート)で、全国9地域のうち東北と北陸、九州・沖縄の3地域で景気の総括判断を引き下げた。工作機械や電子部品関連の海外需要が細り、輸出や生産の減少につながっている。堅調だった設備投資にも企業の慎重姿勢がにじむ。

日銀は四半期ごとに全国の支店長が集まって景気動向を議論し、さくらリポートを公表する。3地域に及ぶ景気判断の引き下げは、欧州債務危機の影響で2013年1月に8地域で一気に引き下げて以来となる。

地域別では北陸が13年1月、東北が16年4月、九州・沖縄が16年7月以来の引き下げとなった。北海道は18年9月の大地震で落ち込んだ観光需要が回復し、景気判断を引き上げた。

1月から大きく変わったのは海外経済に対する認識だ。日銀は1月の同リポートで米中貿易摩擦などの影響を「現時点では限定的」としていたが、今回は「輸出や生産に海外経済の減速の影響がみられる」と明記した。実際、生産の判断は7地域で引き下げた。

日銀の各支店が聞き取った企業の声からは、外需の低迷への懸念がにじみ出た。関東甲信越の非鉄金属業は「中国の設備投資需要が減り、工作機械向け部品の生産は前年比30~40%の大幅減になった」。中国地方の電気機械メーカーは「欧州のディーゼル車規制の影響で車載部品の受注が減った」という。

世界的なスマートフォン(スマホ)需要の停滞やIT(情報技術)大手の投資縮小も影を落とす。東海地方の電子部品・デバイス業は「スマホ関連需要の減少を背景とした生産調整は19年夏まで続く」とみている。

設備投資計画を見直す動きも出始めている。九州・沖縄地方の生産用機械メーカーは「海外経済の先行き不透明感から半導体製造装置の工場新設を先送りする」という。ただ、北海道の企業が「自動車部品の生産は米国向けを中心に高水準」とするなど、米経済の強さを指摘する声もあった。

日銀の黒田東彦総裁は支店長会議のあいさつで国内景気の先行きについて「緩やかな拡大を続ける」との見方を堅持した。今回のリポートでも全9地域で景気は「回復」もしくは「拡大」としており、雇用・所得と個人消費の項目は前向きな判断を据え置いている。19年後半以降に世界経済の持ち直しを見込むことも日銀の景気判断の支えになっている。

SMBC日興証券の牧野潤一チーフエコノミストは「足元の景気減速が一時的なら日銀は金融政策を維持する」とみる。ただ、海外経済の停滞が日銀のシナリオよりも長引くようだと、追加緩和を含めた政策対応を求める声が強まりそうだ。

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