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女子ゴルフに五輪効果 日本勢快進撃、開幕5連勝

編集委員 吉良幸雄

「春の珍事」か、それとも――。女子ゴルフツアーで日本選手の開幕からの連勝が止まらない。ダイキンオーキッド(沖縄)の比嘉真美子(25)に始まり、7日が最終日のヤマハ女子オープン葛城(静岡・葛城GC山名)の成田美寿々(26)まで、強豪ぞろいの韓国選手らを抑えて開幕5連勝。11連勝した2005年以来、14年ぶりの快進撃だ。今季の日本勢活躍の背景には、来夏に迫った「東京五輪効果」が浮かび上がる。

開幕戦のダイキンオーキッドを制した比嘉真美子は5試合を終えて賞金ランクトップに立つ=共同

埼玉・霞ケ関CC東コースが舞台となる五輪ゴルフで、女子は男子の1週間後の20年8月5~8日までの4日間行われる。出場選手枠は20年6月29日時点での世界ランキングが基準となり、ランク15位以内に入っていれば各国最多で4人までが出場可能である。

ただ日本の場合、15位以内は5位(4月8日付)の畑岡奈紗(20)ただ一人。現状では、東京もリオデジャネイロ(野村敏京、大山志保)と同じ2人にとどまりそうだ。畑岡は濃厚だから、2番目の選手が誰になるかが注目の的。残り1枠をめぐる代表レースは今後、熾烈(しれつ)を極めそうだ。

開幕戦Vの比嘉「夢に終わらせない」

昨季賞金ランク4位で、開幕前の世界ランクは日本勢3番手だったダイキン覇者の比嘉は「チャンスがあるなら、全力で(五輪代表を)つかみ取りたい。夢に終わらせるのじゃなく、今年と来年の序盤戦で勝ちまくって、ものにしたい」と闘志満々。海外メジャー初戦のANAインスピレーションは予選落ちに終わったものの、賞金ランクではトップに立つ。

第2戦のヨコハマタイヤ・PRGRカップ(高知)では、17年賞金女王で世界ランクは日本勢2番手の鈴木愛(24)が優勝を飾った。同ランクは畑岡に次ぐ26位。スポンサーからも強く五輪出場を期待されているそうで、「年齢的にもいい年。ゴルフが(五輪競技として)これから続くかどうか分からないし、東京でメダルをとれたら」と話す。

ヨコハマタイヤ・PRGRカップ覇者の鈴木愛は「東京でメダルをとれたら」=共同

第3戦のTポイント×ENEOS(大阪)は、07年女王の上田桃子(32)が優勝。最終日は右手中指痛でスタート前に棄権も考えながら、ハリやマッサージで痛みを抑えて奮闘、我慢の末に逆転で2年ぶりの勝利をもぎとった。今季の目標には、いまだに手にしていない国内メジャー勝利を挙げるが、五輪出場も視野に入れているだろう。

第4戦のアクサレディース(宮崎)は、畑岡と同じ1998年4月~99年3月生まれの「黄金世代」で、昨夏のプロテストに合格、下部ツアーで4勝した河本結(20)がツアー初優勝。同週の米ツアー、起亜クラシック(カリフォルニア州)では畑岡が初めて4日間大会を制しツアー3勝目をマーク、黄金世代パワーを見せつけた。

成田、五輪出場へ「年5勝しないと」

続く第5戦のヤマハ女子は、昨季3勝の成田が、女王のアン・ソンジュ(韓国)との4打差をひっくり返し、鮮やかな逆転優勝を果たした。前回リオ五輪の時から日本代表への意欲を口にし続けている成田は、シーズン開幕前の世界ランクは4番手だったが、上田らにかわされ6番手に後退していた。

「私よりランクが上の人が勝っている。五輪で金を狙うにはまず出場しないといけないし、それには逆算して年間5勝しないといけない」と語り、焦りも感じていたという。過去5回の出場で予選落ち3回のほか、40位、55位と難コースの葛城GCは大の苦手だった。強風の決勝ラウンドで69、67と8打伸ばし、2日間で1ボギーに抑えた逆転Vに「正直あり得ないことが起きた」と驚きを隠さない。

オフの課題は「飛距離アップ」と「球の高さを上げる」こと。パワーがある割にクラブヘッドが走らず、トレーナーには「どうしてこの筋力で飛ばないんだろう?」と悩みを漏らしていた。井上透コーチの指導の下、穴井詩や川岸史果らとともに参加した合宿では飛ばし屋の穴井に「ヘッドが走ってない。止まってるみたい」と冷やかされたという。それでも試行錯誤の末にヘッドを走らせるコツを理解、ヘッドスピードは上がり、ドライバーに限らずアイアンの飛距離も5ヤードほど伸びて「ショートホール(攻略)にも生きた」と振り返る。

ヤマハ女子オープン葛城で鮮やかな逆転優勝を果たした成田美寿々=共同

アプローチ、パットの小技にやや難があり、今季は4パットも3回あったのに、同大会では3パットがゼロ。「3パットしない」「(バーディーを)がっつかない」と自分に言い聞かせ、うまくコースマネジメントもできた。「心の底から楽しく18ホール回れた。4日間耐えられ、成長したと感じる。こういうゴルフができて、すごい自信になる」

「逆転の成田」の異名をとり、今回の勝利でツアー通算12勝のうち逆転勝ちが8回を数える。4日間大会でも国内メジャーの14年ワールド・サロンパス杯を含め6勝目と、実力、体力が十分に備わっていることを証明した形だ。生涯獲得賞金で5億円突破(史上30人目)を達成し「想像できない金額」と笑う。

昨季の賞金ランク5位の資格で、5月末の全米女子オープン(サウスカロライナ州)にも出場を予定。「もっと練習しないと」。海外メジャーでの活躍次第では世界ランクの大幅なジャンプアップが可能だけに、ますます意気が上がる。

賞金女王になれば一気に代表切符も

序盤戦で優勝した実力者の面々だけでなく、東京五輪がモチベーションにつながっている選手は少なくない。黄金世代では勝みなみ(20)や新垣比菜(20)もそう。勝はTポイント女子で2位に入るなど3度トップ10入り。「五輪競技に決まったときから(出場を)意識している」という新垣はダイキンで2位、ヤマハでも最終日を4アンダーで回り、3位に食い込んだ。「今まで4日間大会の場合、体力がもたなかったけど、今週は(決勝Rで71、68と)スコアを上げられて収穫」

五輪代表レースの先頭集団だけでなく、黄金世代など若手やベテランでも、優勝を重ねて賞金女王に上り詰めるような大活躍をみせれば、一気に代表切符をつかめるかも。日本勢がどこまで連勝を続けられるのか。今週のスタジオアリス女子(12~14日、兵庫・花屋敷GCよかわ)以降も、春満開、百花繚乱(りょうらん)の女子ツアーから目が離せない。

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