2019年9月18日(水)

英離脱、折り合えぬ与野党 EUサミット前でも暗雲
メイ首相の求心力低下も影響

2019/4/8 20:50
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【ロンドン=中島裕介】英国の欧州連合(EU)離脱の再延期か「合意なき離脱」か――。そのカギを握る臨時EU首脳会議が10日に迫る中で、英議会は今なお明確な離脱計画を固められていない。メイ英首相が新たに始めた最大野党・労働党との協議も双方の主張の隔たりが大きく、首相自身の求心力低下もあって成果が出ていない。EU各国の見解にも温度差があり、首脳会議は紛糾が避けられない情勢だ。

7日発表されたビデオ声明で欧州連合(EU)離脱に関する自らの立場を訴えるメイ英首相(英首相官邸提供・AP)

7日発表されたビデオ声明で欧州連合(EU)離脱に関する自らの立場を訴えるメイ英首相(英首相官邸提供・AP)

英国の離脱時期は3月21日のEU首脳会議で当初の3月29日から4月12日に延期されている。メイ氏は4月10日の首脳会議でこれを「6月30日まで」に再延期するようEUに要請する。メイ氏は会議前日の9日にベルリン、パリを訪れ、メルケル独首相、マクロン仏大統領とそれぞれ会談し、英国の現状に理解を求める見通しだ。

ただ再延期のためにはEU各国を説得する今後の具体的な計画が欠かせない。当初、メイ氏は10日までに与野党協議で合意し、その内容を反映した協定案を議会承認する筋書きを描いていた。だが足元の情勢は厳しい。

労働党が強く推す「関税同盟への恒久的な残留」はEUとの関税に関わる貿易ルールを維持できる一方、EU域外の国と独自に自由貿易協定(FTA)を結べない欠点がある。EU離脱により貿易政策の自由を取り戻すと訴えてきた与党・保守党の大多数の議員には抵抗感が強い。

離脱方針に関する議員提案を諮った1日の英議会での投票では、313人の保守党議員のうち236人が反対している。安易に妥協すれば大量の閣僚や党幹部の離反が起きかねない。保守党の強硬離脱派、ジョンソン前外相も英紙デーリー・テレグラフで「関税同盟に残るなら、2016年の国民投票の結果は無意味になる」と訴えた。

メイ氏が3月末に協定案の承認後の辞任を表明したこともネックになっている。労働党はメイ氏が辞めた後も与野党の合意内容を守る保証を求めているが、「メイ政権側が難色を示している」(労働党ベテラン議員)もよう。与野党が10日までに一定の合意にこぎ着くメドは立っていない。

議会承認のメドが立たないままEU首脳会議に臨む場合、英側は「与野党協議で合意を目指しており、その時間が必要だ」と延期理由を説明するとみられる。離脱延期にはEU全加盟国の同意が必要なだけに、6月末までの延期がすんなり認められる可能性は低い。

EUのトゥスク大統領は方針を決められない英国が短期延期を繰り返す事態を避けるために、1年の長期延期で「合意なき離脱」を回避する案を検討する。だが対英強硬派のフランスが離脱議論の不確実性を早期に払拭するため「合意なき離脱」の受け入れを各国に呼びかけるなど、EU内も温度差は大きい。

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