2019年9月20日(金)

トルコ大統領、ロシア製ミサイル導入明言へ 首脳会談開催
対ロ接近を演出 対米欧関係一段と悪化も

2019/4/8 18:03
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【モスクワ=石川陽平】トルコのエルドアン大統領は8日、ロシアを訪れ、プーチン大統領と会談した。米国が撤回を求めるロシア製の最新鋭ミサイル防衛システムを導入する計画ついて、見直す考えはないと表明する見通しだ。経済関係の強化や内戦が続くシリア情勢での連携も協議する。対ロ接近を強めるトルコに米欧は懸念を強めており、トルコも加わる軍事同盟、北大西洋条約機構(NATO)の亀裂を広げる可能性がある。

会談で握手するロシアのプーチン大統領(左)とトルコのエルドアン大統領(8日、モスクワ)=AP

会談で握手するロシアのプーチン大統領(左)とトルコのエルドアン大統領(8日、モスクワ)=AP

エルドアン、プーチン両大統領が会談するのは2019年に入って3回目。両首脳は8日にモスクワでトルコとロシアの2国間協力を話し合う定例会議に参加するほか、文化・観光交流の促進イベントの開幕式に出席する。

トルコは17年12月、ロシアとの間でミサイル防衛システム「S400」4基を25億ドル(約2800億円)で購入することで合意した。エルドアン大統領は4月5日、訪ロを前に「S400の合意は完了している」と指摘し「7月の納入を待っている」と語った。

トルコのS400導入計画を巡っては、NATO軍の基準に合わず、軍事機密が漏洩する恐れがあるなどとして、米国が激しく批判。ペンス米副大統領は3日「同盟関係にとって重大な危機になる」と述べ、NATO内でトルコと欧米加盟国との亀裂が広がることに強い懸念を示した。NATOはそもそも旧ソ連に対抗するために結成され、ロシアを実質的な「仮想敵国」としている。

S400購入の撤回を迫る米国は1日、米最新鋭ステルス戦闘機「F35」の生産からトルコ企業を排除したり、同機の引き渡しを凍結したりする構えを示し、圧力を強めた。だが、エルドアン大統領は5日「米国に(S400と同様の地対空ミサイル)パトリオットの購入を提案したが、適切な条件を提示してこなかった」と反論した。

ロシアがトルコに売却するミサイル防衛システム「S400」=ロイター

ロシアがトルコに売却するミサイル防衛システム「S400」=ロイター

S400を巡る対立の背景には、エルドアン政権が言論弾圧や反体制派の締め付けなど強権体質を強め、欧米との関係が悪化していることもある。中東の大国トルコがNATOの一員でありながら、同じく欧米と関係が悪化しているロシアへの接近を強めれば、国際秩序にも影響しかねない。

8日の首脳会談では、シリア反体制派の最後の主要拠点、北西部イドリブ県への対応も協議する。シリアのアサド政権を軍事支援するロシアは、反体制派を支援するトルコと18年9月に同県に非武装地帯(DMZ)を設けることで合意し、アサド政権による総攻撃を回避していた。

経済協力では、ロシア国営原子力企業ロスアトムがトルコ南部のアックユで手がける同国初の原子力発電所の建設工事の進捗状況を確認する。23年の稼働を予定している。敷設工事が最終段階に入ったロシアからトルコに至るガスパイプライン「トルコストリーム」についても意見を交換し、トルコへの天然ガスの供給計画を話し合う。

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