2019年9月20日(金)
スポーツ > Tokyo2020 > GO TOKYO > 記事

GO TOKYO

フォローする

日本で「東京」めざす海外アスリート メダル候補も

(1/2ページ)
2019/4/11 5:40
保存
共有
印刷
その他

体操世界選手権の種目別床運動で銅メダルを獲得したカルロス・ユーロ選手(右)(2018年11月、ドーハ)=AP

体操世界選手権の種目別床運動で銅メダルを獲得したカルロス・ユーロ選手(右)(2018年11月、ドーハ)=AP

東京五輪を目指して世界中のアスリートが切磋琢磨(せっさたくま)している中、日本で練習に励む海外選手もいる。競技環境が十分でない発展途上国の選手たちだ。国際オリンピック委員会(IOC)と日本オリンピック委員会(JOC)の共同支援の下、家族らと離れる寂しさを抱えながらTOKYO2020の夢を追いかけている。

昨年カタールで行われた体操の世界選手権で、身長150センチ足らずの小さな若者が世界を驚かせた。男子の種目別床運動で銅メダルを獲得したカルロス・ユーロ(19、フィリピン)。五輪、世界選手権を通じて体操競技で同国の選手が表彰台に立つのは初めての快挙だった。

■日本人コーチと二人三脚

ユーロが真っ先にメダルを見せたのが、日本人コーチの釘宮宗大さんだ。同氏を頼って16年に来日、現在は東京・世田谷の朝日生命体育館を借りながら二人三脚で練習に励む。「日本に来ていなかったら、メダルも絶対になかった」とユーロは環境に感謝する。

13年から首都マニラでフィリピン代表チームを指導していた釘宮さんの目に留まったのが始まりだった。「まだジュニアだったけど、教え始めて1年半くらいで全6種目がさまになった。これはすごいなと思った」。16年春に帰国が決まっていた釘宮さんは「一緒に日本に来るか?」とユーロをそれとなく誘った。

シャイな性格だが、得意の床では躍動する

シャイな性格だが、得意の床では躍動する

「もっと体操がうまくなりたかったから、迷いはなかった。お母さんには2週間くらい反対されたけど」とユーロ。体操が盛んではないフィリピンの体育館は狭く、冷房設備もない館内はまるで蒸し風呂。指導者もレベル、数とも十分でなく、日本行きは願ってもないチャンスだった。

ただ、両親と自分を含めた4人きょうだいの家庭は貧しく、とても日本での学費や生活費は工面できない。当初は釘宮氏とフィリピン体操協会が手当てしたが、その後に大きな支援を得る。IOCとJOCが共同で発展途上国の選手を支援するプログラムだ。年間300万円の援助を受けるユーロは現在、帝京大で日本語を学びながら心置きなく体操に打ち込めている。

シャイな性格で口数は多くない。来日当初は釘宮さんの実家で部屋に閉じこもる日々が続いたという。「1日の中で言葉を口にするのは、コンビニのレジで『ハロー』の一言だけという日もあった」。だが、ひとたびポディウム(演技舞台)に上がると見違えるように躍動した。得意の床運動では、世界でも白井健三くらいしかやっていない「後方伸身宙返り2回半ひねり~前方伸身宙返り2回半ひねり」の連続技で高得点をたたき出す。

■賞金で家族の生活を助ける

国際大会の賞金などで家族の生活も助けられるようになった。世界選手権のメダル獲得ではフィリピン協会から25万ペソ(約54万円)の報奨金も出た。両親とお金を出し合って、新しい家を買ったという。

東京五輪はもはや夢物語ではなく現実的な目標だ。「まだミスが多いので、もっと練習しないといけない」とユーロ。同じ屋根の下で寝食も共にする釘宮氏の厳しい指導の下、日本語も体操も一歩ずつ前に進んでいる。

(山口大介)

  • 1
  • 2
  • 次へ
保存
共有
印刷
その他

電子版トップスポーツトップ

GO TOKYO 一覧

フォローする
女子57キロ級で優勝し、肩車で日の丸を掲げる川井梨紗子=共同共同

 「安心した部分と悔しい部分が複雑で……」。苦戦続きの日本女子チームを救った安堵と思わぬ追い上げにあったふがいなさと。ないまぜになった感情があふれ、川井梨が涙声を震わせた。
【関連記事】女子76キロ級・ …続き (9/19)

伸び盛りの白石黄良々(左)は世界選手権の男子400メートルリレーで2走に配置された=共同共同

 27日に開幕する世界選手権で楽しみな種目は多いが、やはり男子400メートルリレーへの期待は高い。土江寛裕・五輪強化コーチが公表した走順を見ると、思い切った面白い采配をしてきた印象だ。
 面白いとは、伸 …続き (9/20)

鈴木は暑熱対策を怠らず、給水の中身も工夫。「ほぼ出来上がっている」と調整に自信を見せる(8月の日本代表合宿)=共同共同

 陸上の世界選手権が27日、ドーハで開幕する。男子短距離や400メートルリレーと並んで日本陸連から「ゴールドターゲット」に位置づけられ、メダル争いができる強豪へと地位を高めているのが競歩陣だ。日本人最 …続き (9/19)

ハイライト・スポーツ

[PR]

新しい日経電子版のお知らせ

より使いやすく、よりビジュアルに!日経電子版はデザインやページ構成を全面的に見直します。まず新たなトップページをご覧いただけます。

※もとの電子版にもすぐ戻れます。