ボーイング、「737MAX」を2割減産 長期停止に備え
【ニューヨーク=中山修志】米ボーイングは5日、2度の墜落事故を起こした新型機「737MAX」の生産ペースを2割落とすと発表した。米連邦航空局(FAA)による運航停止を受け3月半ばに737MAXの出荷を止めたが、再開に備えて事故前と同じペースで生産を続けていた。制御システムのソフト修正が予定よりも遅れており、運航停止の長期化に備える。

4月半ばから、米ワシントン州レントン工場での生産ペースを現在の月間52機から42機に減速させる。減産は数週間の予定で、事故の再発防止策を優先し、制御システムの見直しやパイロットの訓練プログラムの強化に経営資源を振り向けるという。737MAXは約4600機の受注残があり、事故前は生産ペースを今夏までに月間57機に引き上げる計画だった。
新機種の設計・開発にあたって安全性を評価する外部委員会を設置する方針も明らかにした。バイオ製薬大手アムジェンのロバート・ブラッドウェイ最高経営責任者(CEO)や電力大手デュークエナジーのリン・グッドCEOらが委員を務める。
ボーイングは当初、墜落の原因とされる制御システムの修正ソフトを3月中にFAAに提出し、審査を受ける予定だった。だが、修正ソフトの準備に時間がかかり、提出が4月半ば以降にずれ込む見通しだ。米メディアは制御システムとは別の問題が見つかった可能性を指摘している。
一方、FAAは737MAXの安全性の検証に、米運輸安全委員会(NTSB)や米航空宇宙局(NASA)のメンバーを加えた合同評価チームを組織する。事故後の運航停止を巡って米国と各国当局の判断にばらつきが出たことから、評価チームには各国当局にも参加を呼びかける。これまでにカナダやシンガポールの航空当局が参加を表明している。