2019年6月25日(火)

マレーシア、国際刑事裁判所の規程批准を撤回 国内の混乱回避

東南アジア
2019/4/6 0:03
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【シンガポール=中野貴司】マレーシアのマハティール首相は5日、国際刑事裁判所(オランダ・ハーグ、ICC)のローマ規程を批准しない方針を明らかにした。政府は同規程の批准を目指してきたが、一部の州王などからの反発を受けたため、国内の混乱回避を優先する。マハティール政権は国連の人種差別撤廃条約の批准の撤回にも追い込まれており、重要な国際条約の批准が国内要因によって阻まれる事態が続いている。

マハティール首相は5日の会見で、国際条約の批准方針を撤回すると述べた(クアラルンプール近郊)=AP

マハティール氏は5日の会見で批准方針を撤回する理由を「ローマ規程が有害だからではなく、政治的な混乱が引き起こされたためだ」と説明した。「王室と政府を対立させようとしている勢力がいる」とも述べ、国際条約の批准を政治問題化しようとする勢力を批判した。

ICCは戦争犯罪や人道に対する罪を犯した個人を裁く国際法廷で、ローマ規程は対象となる犯罪や手続きなどを定める。日本をはじめ120を超える国が締約国になっている。

マハティール政権はローマ規程を批准する方針を18年12月に閣議決定して、批准を目指してきた。だが、反対派が「批准はマレー系の権利やイスラムの神聖さを侵害する」といった主張を展開し、一部の州王も同調。マハティール政権はこうした動きを無視できなくなり、方針変更を余儀なくされた。

マハティール政権が国際条約の批准撤回に追い込まれるのは初めてではない。18年11月には、あらゆる形の人種差別を撤廃する政策の採用を求める国連の人種差別撤廃条約の批准が暗礁に乗り上げた。批准によってマレー系優遇政策が維持できなくなるとの不安が、マレー系の間に高まり、反発が広がったためだ。

野党連合はマレー系からの支持を取り戻すため、国連条約の批准などを政治と結びつけようとしている。今回の撤回は多数派のマレー系の政治的な影響力の強さを示すとともに、マハティール政権の運営が難しくなりつつあることを印象づけた。

フィリピンも3月、国際刑事裁判所から脱退している。ただ、脱退の理由は、ICCがフィリピンの強引な薬物犯罪捜査に対する予備調査に乗り出したことに反発したためで、マレーシアとは状況が異なる。

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