バイトにも賞与・手当 外食・小売り「同一労働、同一賃金」に

2019/4/5 22:20
保存
共有
印刷
その他

外食や小売り大手が人手確保へ向け、非正規従業員の待遇改善を一段と進める。2019年の春季労使交渉ではアルバイトらに賞与や「子ども手当」を支給するなど、正社員と同等の制度を取り入れる動きが相次いだ。外食や小売業界は他の業界と比べても特に人手不足感が強い。企業は待遇改善で人材確保を急ぐが、人件費の上昇による収益低下なども予想される。デジタル化など生産性の向上と両輪での対応が欠かせない。

正社員とパート社員の待遇差をなくす取り組みが目立つ(東京都内のスーパー)

外食や小売りなどの労働組合が加盟するUAゼンセンは5日、春季交渉での1日時点の交渉状況を発表した。賃上げと並んで焦点の待遇改善については、アルバイトらへの賞与支給などの具体策を盛り込んだ。日本の非正規従業員は2千万人超と就業者全体の3割以上を占め、個人消費や景気に与える影響は大きい。

大企業は20年4月から「同一労働同一賃金」への対応を求められる。今回の労使交渉では手当や休暇などの待遇差解消を前倒しで導入し、人材獲得競争を乗り切ろうとする動きが目立った。

外食大手のワタミは10月から、一部のアルバイトなど短時間労働者に一時金を支払う制度を始めることで労使が合意した。支給金額や対象範囲は9月までに協議する。

スーパー大手のライフコーポレーションは今春、「子ども手当」の対象を契約社員と嘱託社員にも広げる。金額は正社員と同じ月1万5千円。「レジ打ちや品だしを担当している有期雇用の社員は子育て中の主婦が多い」(同社)といい、現場の中核を担う働き手のモチベーションを高める。

イオントップバリュはパート社員ら時間給社員に子ども向けの教育手当を取り入れる。幼稚園児なら19円、中学生なら50円といった具合に時給に上乗せする形で支給する。

コンビニエンスストアの24時間営業の是非に注目が集まるなか、商圏のニーズに合わせ営業時間を柔軟に見直す動きもみられた。

すかいらーくホールディングスは店舗ごとに深夜の営業時間を毎年見直すことで合意した。上新電機は全直営店の4分の1にあたる51店舗で営業時間を短縮する。商業施設内など一部店舗は夜10時まで営業していたが、労働環境の改善を人材獲得につなげたい会社側から提案したという。

UAゼンセンの松浦昭彦会長は5日の記者会見で「会社に残ってもらうための待遇改善も目立った」と指摘した。西日本で食品スーパーなどを運営するイズミは、顧客による過度な苦情などの「カスタマーハラスメント」から従業員を守る仕組みの導入を検討する。こうした苦情などへの対応を負担に感じる従業員も多いといい、心理的負担を軽くする。

厚生労働省によると2月の有効求人倍率は商品販売が2.72倍。飲食物調理(3.44倍)や接客(4.16倍)とともに全体の1.54倍を大きく上回っており、働き手の確保は小売・外食業界にとり喫緊の課題だ。

一方、待遇改善は企業の収益を圧迫する。中堅スーパーのいなげやはパート従業員の時給引き上げや都市部での採用コスト増加で、19年3月期の営業利益は前の期比44%減を見込む。企業は待遇改善と並行して経営合理化策が不可欠になる。(矢尾隆行、藤村広平、河野祥平)

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]