2019年5月24日(金)

リビア武装勢力が首都に接近、内戦再開なら難民も

中東・アフリカ
2019/4/5 18:45
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【カイロ=飛田雅則】分裂状態が続く北アフリカのリビアで、シラージュ暫定首相が拠点とする首都トリポリに、対立する武装勢力「リビア国民軍」の部隊が接近している。大規模な内戦が再開すれば、欧州への難民増につながりかねない。リビアは石油輸出国機構(OPEC)に加盟する産油国で、原油価格に影響する可能性もある。

首都トリポリに向けて進軍する「リビア国民軍」の車両(5日、トリポリ近郊)=ロイター

リビアではカダフィ独裁政権が倒れた2011年以降、北西部のトリポリの暫定政府と、北東部のベンガジを本拠にするハフタル司令官が率いる国民軍など、いくつかの勢力が割拠してきた。

現地からの報道によると、ハフタル氏は国民軍にトリポリへ向けた進軍を命令した。同軍の軍用車両が西方に進んだことが確認された。4日までにトリポリの南方約100キロメートルの要衝ガリヤンを攻略したもようだ。これに対し、暫定政府は「あらゆる脅威に備える」との声明を発表し、傘下の部隊に対応を求めた。

3日にトリポリを訪問したグテレス国連事務総長は4日「リビアでの軍事的な動きと、衝突の可能性を深く懸念する」とツイッターで表明した。

米国、英国、フランス、イタリア、アラブ首長国連邦(UAE)は共同声明で「軍事力での威圧や一方的な行動の脅威は、再びリビアを混迷に陥れるだけだ」と指摘し、各勢力に自制を促した。

国連は14~16日に各勢力の和解とリビア統一に向けた会議を予定していた。ハフタル氏は進軍命令の意図を明らかにしていないが、会議の中止あるいは主導権の確保を目指した可能性がある。

ハフタル氏とシラージュ氏は3月、UAEで会い、将来のリビア統一の可能性を協議した。

暫定政府と国民軍を含む主要勢力は統一に向けた大統領選と議会選を18年12月に予定したが、トリポリで起きた武装勢力同士の衝突などを理由に、19年春へ先送りすることで合意していた。

ハフタル氏は、民主化運動「アラブの春」が中東・北アフリカ各国で連鎖するなかで崩壊したカダフィ政権において軍幹部を務めた。ロシア、エジプト、UAEなどの支援を受ける。最近ではサウジアラビアを訪れ、サルマン国王に謁見した。

シラージュ氏の暫定政権は国連が支持する。トリポリの空港を影響下に置くイスラム原理主義勢力に近いとされている。

リビアは欧州を目指す中東やアフリカからの移民や難民が地中海を渡る際の拠点の一つだ。大規模な武力衝突が起きれば、難民流出の勢いは再び強まることもあり得る。

英BPによると、リビアの産油量は17年が日量86万5千バレルで、世界全体の1%弱を占めた。カダフィ政権崩壊前の10年のほぼ半分だ。OPECはロシアなどと協調減産を進めているが、リビアは事実上の対象外で減産義務を課せられていない。

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