2019年6月26日(水)

サウスポーの視点(山本昌)

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良いコーチはビデオカメラになり、明るくどっしり

2019/4/7 6:30
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プロ野球の新しいシーズンが開幕した。ほとんどのチームでは多かれ少なかれ、首脳陣も入れ替わった。監督に比べると目立たないが、選手と監督の橋渡し役でもあり、チームの運営に重要な役割を果たすのがコーチ陣だ。私自身が未経験であることをお断りしたうえで、選手時代の経験から良いコーチの資質や条件を考えてみたい。

春季キャンプでノックをするソフトバンク・本多内野守備走塁コーチ(右)=共同

春季キャンプでノックをするソフトバンク・本多内野守備走塁コーチ(右)=共同

選手と違い、コーチは1軍が格上、2軍が格下というわけではない。役割が違うため、求められる資質もおのずと変わる。2軍は野球の技術を磨くのはもちろん、若い選手が礼儀や社会人としてのマナーなどを身につける場でもある。グラウンド上の技術指導だけでなく、人間教育もできる人材が適任だ。

一方、一定以上の力をもった選手が勝利を目指して戦う1軍のコーチに求められるのは「ビデオカメラ」としての役割だ。それぞれの選手の「形」を知ったうえで、好調時や不調時の特徴を把握しておく。いま使うべき選手を的確に監督に進言でき、スランプに陥ったとき、どこがどう悪いのかがわかること。それを闇雲に助言するのではなく、適切なタイミングで選手に伝える能力が求められる。

森繁和コーチに何度も救われ

「ムードをつくれる」というのも貴重な資質だ。とにかく明るいというより、どっしりと落ち着いて、勝っても負けても一喜一憂せず、同じテンションでいてくれると選手としてはありがたい。私の現役時代では、投手コーチやヘッドコーチを歴任した森繁和さんがそうだった。

こわもての印象通り、怒らせたら怖いのは間違いなかったが、打たれた翌日、「昨日は自分のせいで負けた」と責任を背負い込んでいる投手に、いつも通りに明るく声をかけてくれた。私も何度も救われた。監督やファンの声から選手を守ってくれるコーチでもあった。自ら視察して獲得してきた中南米の選手にも慕われ、外国人との接し方も上手だった。

意図せずとも、自然にそういう振る舞いができてしまうのが森さんのすごいところだ。落合博満監督の下で森さんがコーチを務めた2004年からの8年間で中日は4度のリーグ優勝を果たし、07年には日本一にも輝いた。当時の中日の強さは、森さんの存在抜きに語れない。私もいつか指導者になることがあれば、参考にさせてもらいたいと思っている。

(野球評論家)

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