はやぶさ2、小惑星に弾丸放つ実験 発射装置を分離

2019/4/5 11:15
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宇宙航空研究開発機構(JAXA)の探査機「はやぶさ2」は5日、小惑星「りゅうぐう」に金属弾を撃ち込んでクレーター(くぼ地)をつくる世界初の実験をした。2月の着陸成功に続く挑戦で、地表に比べて風化しにくい地中の物質をむき出しにして、5月以降の着陸で採取できるようにする。複雑な自動制御を使う試みの成否は、小惑星探査で世界をリードする上での正念場となる。

はやぶさ2は4日午後1時過ぎから降下を始め、5日午前11時ごろ、金属弾を収めた装置を切り離した。はやぶさ2が安全確保のために小惑星の裏側に隠れた後、装置は40分後に自動で爆発し、重さ2キログラムの金属弾を発射。秒速2キロメートルでりゅうぐうの地表に衝突する。

はやぶさ2は半径200メートルほどの場所を狙ってクレーターを作る(JAXA、東大など提供)

はやぶさ2は半径200メートルほどの場所を狙ってクレーターを作る(JAXA、東大など提供)

金属弾を地表に撃ち込めたかどうかは探査機から切り離した遠隔カメラなどで確認し、同日中にも判明する。ただ、はやぶさ2が裏側にまわるため、クレーターの状況が分かるのは4月下旬になる見通しだ。位置や形状を詳しく分析し、可能であれば5月以降にクレーター付近への着陸を目指す。地中に眠っていた物質を採取できれば世界初の快挙となる。

JAXAの久保田孝研究総主幹は5日午前に会見し「はやぶさ2にとっての平成最後の大仕事に挑戦したい」と語った。

小惑星の表面は宇宙線や太陽光を浴びて風化しているが、地中は影響を受けにくい。地中の物質には太陽系が生まれた46億年前の痕跡が残るとされ、生命の元となる有機物や水分が存在する可能性がある。宇宙の成り立ちや生命誕生の謎を探る手がかりが得られると期待される。

2月の着陸では、地表の岩石を回収した可能性が高いとみられている。2回目として5月以降に計画する人工クレーターへの着陸で地中の物質の採取にも成功すれば、さらなる解明につながる。

はやぶさ2は2010年に小惑星「イトカワ」の微粒子を地球に持ち帰った初代はやぶさの後継機。14年12月に打ち上げられ、18年6月にりゅうぐう周辺に到着した。19年末にはりゅうぐうを離れ、20年末に採取物を入れたカプセルを地球に持ち帰る計画だ。地球帰還までの総事業費は約289億円を見込む。

小惑星内部の物質を採取するのは世界初の試み。米航空宇宙局(NASA)の探査機「ディープインパクト」が05年、彗星(すいせい)に観測機器を衝突させて飛び散った物質を観測したが着陸や採取はしていない。

小惑星探査のライバルは「米国版はやぶさ」と呼ばれるNASAの小惑星探査機「オシリス・レックス」。小惑星「ベンヌ」周辺に到着しており、20年に岩石を採取して23年に地球に運ぶ予定だ。はやぶさ2がはるか遠くの小惑星に自動で近づき、複雑な作業を達成すれば高い技術力を示したことになる。

衝突でできるクレーターの大きさの予測には幅がある。岩石でできた地表の場合は直径約3メートルで深さ約50センチ、砂の場合は直径約10メートル、深さ約1メートルと考えられている。地表が軟らかいと弾丸が埋まってしまい、クレーターができない可能性もあるという。クレーターをつくって地中がむき出しになれば、上空からの観測で岩石などの成分を調べられる。

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